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国内市況ニュース

<相場の見方、歩き方>大きく変化しつつある社会構造―円安、物価上昇への対応には賃上げが必要(1)

2022-10-24 08:00:00.0

―デメリットのほうが大きくなった円安―

 鈴木一之です。円安が続いています。ドル円相場は今週末、とうとう1ドル=150円に乗せました。

 株式市場が円安を喜んでいたのはずいぶんと以前のことのように思えてきます。今はそのようなムードはほとんど感じられません。

 円安と株高が両立したのは2013−2014年、「アベノミクス」の初期のころです。日銀による「異次元の金融緩和」がまだうまく機能して、1ドル=125円まで円安が進んだ時期です。

 今思えばその当時から、海外勢は「なぜ日本人は自国通貨が下落するのをそれほどまでに喜ぶのか」と首をひねっていました。日本では「円安=株高」が常識ですが、海外諸国はそうではありません。自国通貨はドルに対して強い方が常に喜ばしいというのが通念です。

 世界の常識が通用しにくいのが日本という国です。80年代バブルの頃もそうでした。日本の土地と株価は高すぎる、と海外からさんざん指摘されましたが、まったく値下がりせず、それどころか一貫して上昇を続けました。

 結局、最後には大幅に値下がりすることになるのですが、それほどまで当時の日本の常識は世界から完全に隔離されていました。

 自国通貨が下がるのは基本的に国民経済には不利、というのが世界の常識です。それに対して日本では円安が好まれてきたのは、日本が輸出立国で輸出ビジネスに携わる企業が優勢のためです。ドル建ての売上げが円換算される時に、円ベースの手取り額が増え、それによって利益も増えるのが背景です。

 しかし今や円安で利益が増えたからと言って、その企業が努力と工夫を重ねて付加価値を増やしたわけではないので、それだけで株価が上昇することは少なくなっています。むしろ海外からの輸入資材の高騰や燃料価格の上昇、それに人件費高とあらゆるコストが上昇する世の中で、円安のメリットは大部分が相殺されてしまいます。

 円安の効果が大きいと見られる自動車大手・SUBARU<7270>の水間CFO(最高財務責任者)はインタビューに応えて、円安による増益効果もあるがそれは米国での販売奨励金を増やすので、米国の消費者心理の減退が心配されると警戒しています。

 内需企業のドトール・日レスホールディングス<3087>の星野社長は、コーヒー豆相場が上昇して仕入コストが上昇し、そこに円安が重なってダブルで厳しいと述べています。J.フロント リテイリング<3086>の好本社長も、円安が原料高が重なってインフレが加速し個人消費に影響が出ると警戒しています。円安のメリットは日本を訪れる外国人のお客様に現れると見ています。(2)へつづく

 *おことわり この記事は、2022年10月23日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。

提供:モーニングスター社