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<相場の見方、歩き方>好調な小売り決算、消費の堅調さが次の相場展開に向けた突破口に(1)
2022-10-11 08:04:00.0
―株式市場だけがはしゃぎ過ぎているのでは?―
鈴木一之です。今週(3―7日)から10月相場が始まりましたが、さっそく波乱の展開となっています。
日経平均株価は週初から大きく値を戻す展開となりました。しかし正直に申し上げて、何が株価反転のきっかけとなっているのかよくわからない部分も多く残っています。
今回の株価下落の震源地となっている米国からは、経済の弱さが確認されるマクロ経済統計がいくつか出てきました。9月のISM(米サプライマネジメント協会)・製造業景況感指数は50.9となり、8月の52.8からは1.9ポイント低下しました。2020年5月以来、2年4か月ぶりに低い水準です。
同じくISM・非製造業総合指数も56.7となり−0.2ポイント低下しました。こちらも1年半ぶりの低水準となりました。
景気の先行きに対する弱めのデータが現われたことで、インフレ抑制に対する政策金利の引き上げ効果が早くも発現されつつあるとマーケットは好感しています。「すべてはデータ次第」と示したジャクソンホールでパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の言葉のとおりになっているのですが、しかしそれこそ9月に戒められたばかりではなかったのかと危惧されます。
またもや株式市場だけがはしゃぎすぎているのではないかと、疑心暗鬼になってしまいます。そのあたりはまだ疑問符がついたままですが、それでもマーケットはいったんは底入れ反転の動きを強める水準に達したことは事実です。日経平均はPBR(株価純資産倍率)で1.15倍前後の2万7500円水準をニュートラルとして、売られ過ぎの状態を解消する方向で推移しそうです。
それにしても今週の始まりはかなり悲惨な心理状況でした。前週はイギリスで起きた株式、債券、通貨のトリプル安をどのように受け止めるか、その警戒心や疑心暗鬼が世界中のマーケットを覆い尽くしていました。
発足したばかりのトラス新政権が打ち出した物価上昇を補う低所得者層向け減税策が、イングランド銀行の推進するインフレ抑制策と真っ向からぶつかり合ってしまう政策上の矛盾を突かれた格好です。
イングランド銀行は機敏に政策を転換して、大規模な国債買い入れ策を発表したことによって市場は一息つくことができましたが、これで懸念が完全に払しょくされたわけではありません。あれから1週間が経過して、イギリスの長期金利には再び上昇圧力がかかっています。欧州の債券市場では今週も30年国債金利が1週間ぶりの高水準となる4.3%まで一時的にも上昇しました。
トラス政権は政権発足直後から大きな岐路に立たされていますが、世界を見回しても市場とうまく折り合っている政権は主要国にはどこにもありません。イタリアは総選挙で極右政党の躍進を許し、ドイツはエネルギー政策上で綱渡りが続いています。(2)へつづく
*おことわり この記事は、2022年10月10日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




