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<相場の見方、歩き方>マーケットは下値模索の時間帯に突入、銘柄ごとの選別色が一段と強まる方向
2022-10-03 08:00:00.0
―利上げの影響が表面化、世界の経済成長見通し下方修正―
鈴木一之です。マーケットにとって今週(9月26−30日)は厳しい環境が続きました。
先週の米国でのFOMC(米連邦公開市場委員会)開催、そこでの政策金利の引き上げ決定から多少の軟調な値動きが予想されましたが、市場の変化はそれだけにはとどまりませんでした。
英国ではイングランド銀行の利上げ決定に対して、発足直後のトラス政権が決定した法人増税の凍結を含む財政支出の拡大、それが市場では明確に否定的に受け止められました。直後からポンド安と債券安、そして株価の下落が大きく進行し、トリプル安が世界中にショックを広げました。
欧州の苦境は続きます。ロシアからのパイプライン「ノルドストリーム」は原因不明の大規模なガス漏れが見つかり、故意に破壊された可能性もあります。ただでさえガス供給が不足している現状で、この冬の欧州エネルギー危機が現実のものになりかねない情勢です。
ユーロ圏のガス価格は1年で3倍に上昇しており、10年平均値の10倍にまで値上がりしました。これほどの物価の上昇が庶民生活を直撃しており、購買力の低下からユーロ圏全体の景気後退が一段と深刻化する可能性が高まっています。
OECD(経済協力開発機構)は今週初めに今年と来年の経済見通しを発表しました。それによれば来年の世界全体の成長率は、6月時点の2.8%から2.2%に0.6ポイントも下方修正されます。
米国は1.2%から0.5%へ、ユーロ圏全体も1.6%から0.3%に大幅に引き下げられましたが、最も厳しいのはドイツです。それまでの1.7%成長からマイナス0.7%と2.4ポイントも下がりマイナス成長となる見通しです。日本の低下幅は小さい方ですが、それでも1.8%から1.4%に減速します。物価の上昇とそれを抑え込むための急激な利上げが景気を過度に押し下げる懸念がいよいよ現実のものとなっています。
―目立ち始めた企業業績の下方修正―
目の前に迫っているインフレの影響はやはり大きいものがあります。日本ではこの秋、食品価格が一斉に引き上げられます。マヨネーズはキユーピーと味の素が最大で15%の値上げを行います。ビールも大手メーカーを中心に最大13%の値上げで、清涼飲料各社も500ミリリットル・ペットボトルで20円引き上げの見通しです。
産業界では2月/8月決算企業の決算発表が始まっていますが、それらの企業も業績の下方修正が早くも目立つようになってきました。
子供服チェーンの西松屋チェーン<7545>は今週、中間決算の発表を行いましたが、それに合わせて23年2月期の税引利益の見通しを、従来の90億円(前期比7%増)から77億円(同9%減)に下方修正しました。売上げは伸びても、海外から調達する衣料品のコストが円安で上昇し利益を押し下げます。
スーパーの平和堂<8276>も23年2月期の純利益を、従来の93億円から65億円に下方修正しました。商品仕入価格や光熱費の高騰が原因です。収益認識基準に変更しているため単純には比較できませんが4割近い減益となります。
カレーハウスの壱番屋<7630>も、23年2月期上半期の純利益が10億円と前年比33%減にとどまりました。中国・上海で展開する海外店の減少分が大きいと言います。通期見通しは据え置きましたが、現状では弱めの影響が出てくる可能性が大きい模様です。
オークワ<8217>、ケーヨー<8168>、西武ホールディングス<9024>、日本軽金属ホールディングス<5703>も業績見通しの引き下げを表明しており、ここから始まる企業業績の行方が気になるところです。
マーケットは下値模索の時間帯に入っています。個々の銘柄ごとの選別色が一段と強まってゆく状況です。KDDI<9433>、サンリオ<8136>、千葉銀行<8331>、阿波銀行<8388>、ミダックホールディングス<6564>に注目しています。
*おことわり この記事は、2022年10月2日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




