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<相場の見方、歩き方>下値リスクの少ない日本の株式市場、押し目買いの好機到来か
2022-09-20 08:01:00.0
鈴木一之です。英国のエリザベス女王が亡くなられて1週間。他国のこととは思えないほど、私自身、イギリス王室の訃報を重く受け止めています。
英国にとどまらず、第二次世界大戦後の歴史をすべてお一人で体験されてきた方が亡くなれたという事実は、世界の歴史が大きな転換点にあることを思わないわけにはまいりません。
マーケットでは今週(12−16日)も大きな出来事が相次ぎました。米国では注目された8月・CPI(消費者物価指数)が発表され、物価の上昇率は予想を下回ったにもかかわらずマーケットは厳しい反応を示しました。何よりもショックだった点は、エネルギー価格の騰勢が収まりつつあったのに物価の上昇が一向に止まらない点です。
これを受けて米国の株式市場は急落しました。9月13日のNYダウ工業株は1276ドルの下落となり、今年最大の下げ幅を記録しました。6月に世界中のマーケットを揺さぶった「5月・CPIショック」の再来に身構えています。
株式市場のみならず、債券市場も大きく反応しました。2年国債金利が15年ぶりの高い水準まで上昇し、それとともに10年国債金利も週末には3.45%台まで高まっています。米国の住宅ローン金利は2008年以来という6%台に乗せています。住宅市場が一段と後退してゆくのは間違いありません。為替市場では1ドル=144円台まで円安ドル高が進みました。
来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)での政策金利の引き上げ幅が、従来の0.75%からこれで1.0%に拡大するのは堅いと見られます。それ以上に注目されるのが、来年に向けての政策金利のターゲット、いわゆるドットチャートです。金融政策の到達点が一段と引き上げられることは間違いなく、その幅によってはマーケットは再びショックに見舞われる可能性もあります。
週末の株式市場は息をひそめてその帰趨(きすう)を見守っています。
先進国の中ではまだ物価上昇の穏やかな日本でも決して無風とは言えません。8月の企業物価指数は9.0%の上昇を示し、1980年12月以来の高い伸び率となっています。鉄鋼(26.1%)、石油・石炭製品(15.6%)、金属製品(12.3%)の上昇が牽引しています。
ただ景気動向に対しては必ずしも悪いニュースばかりではありません。企業業績は着実に上向いています。
今週、内閣府より発表された7−9月期の法人企業景気予測調査では、大企業の景況判断指数は全産業ベースでプラス0.4ポイントとなり、3四半期ぶりでプラスとなりました。コロナ禍からの経済再開が広がり企業の業況感を引き上げています。
また7月の機械受注も前月比5.3%の伸びを記録しました。2カ月連続のプラスです。非製造業が15.1%の大幅な伸びを記録していますが、これは2019年11月以来の高い伸びでした。不動産セクターの受注増加や鉄道事業などが伸びを牽引しています。
秋の旅行シーズンに合わせて、10月からは「Go To トラベル」の後継となる「全国旅行支援」も始まると見られます。現在は各都道府県で実施している「県民割」などの地域振興策と置き換えて、全国どこへ行くにも最大で1万円強のクーポン券配布が適用されます。
新型コロナの水際対策もほぼ全面的に解除される方向で調整が進められています。経済活動は楽観は許されない状況ですが、暗いニュースが増えるほどそれを穴埋めする経済政策が盛り込まれます。
もともと動きの少なかった日本の株式市場です。下値リスクは少なく、むしろここからは上値余地の方が十分に残されていると見ることができそうです。押し目買いに好機がありそうな局面となってきたようです。東京建物<8804>、イー・ギャランティ<8771>、東京海上ホールディングス<8766>、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>に注目しています。
提供:モーニングスター社




