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<相場の見方、歩き方>日経平均の行方は景気次第、企業業績を見る限り基調はしっかり(1)
2022-08-29 08:00:00.0
―岸田政権の大きな政策転換―
鈴木一之です。お盆休みが終わり、日本の政治・経済界は早くも動きが慌ただしくなっています。
まず各省庁からは来年度予算の概算要求が出そろいました。防衛省の防衛予算の大幅増額が目玉となっていますが、そればかりでなくあらゆる省庁が提出した要求額を単純に積み上げただけで当初予算は110兆円を超えることになるといいます。
今年度を含めてすでに10年連続で当初予算は過去最高額を更新しています。来年度はそれをさらに上回る金額となるのは間違いありません。岸田政権の発足からほぼ1年。最初のうちは宏池会は財政緊縮を敷くと見られていましたが、どうしてどうして。現実はとてもそのような情勢ではありません。財政拡張派そのままの流れが継続しています。
現在の時代背景が岸田政権にもそのようにふるまうことを要求しているようです。それを映してか、今週は大きな政策転換(あるいはその方向性)が3つ、立て続けに示されました。
(1)NISA(少額投資非課税制度)の恒久化(2)訪日外国人など入国72時間前の陰性証明の緩和など、水際対策の緩和(3)原子力発電を中心としたエネルギー政策の転換――です。
3つの方針の中でも特に注目すべきは、原発に関する政策サイドの大きな方針転換です。停止中の原発再稼働の対象拡大だけでなく、原発の増設・新設へと大きく舵を切ることになりました。株式市場はさっそく反応を見せています。
その内容はすでに各方面で伝えられていますが、コロナ陽性でリモートワークで職務を行っていた岸田首相はGX(グリーン・トランスフォーメーション)に関する有識者会議の場で、次世代原子炉の建設を検討するよう指示を下しました。東日本大震災以来、11年間にわたって原発の新設、増設は議論すら避けるという状態でしたが、その従来方針ががらりと転換されることとなりました。
2050年に温暖化ガスをゼロにするという国際公約を果たすこと、および目の前の電力危機を回避して長期的なエネルギー安定調達を実現するには、原発を無視して前に進むことはできません。政治のリーダーシップとして現実路線を選択する方向に舵を切りました。
現在、日本には33基の原子炉がありますが、原子力規制委員会の安全審査を通過した原子炉は17基。そのうち稼働しているのは6基だけという状況です。記録づくめの今年の猛暑はなんとか乗り切りつつありますが、豪雨の程度は年々激しさを増しており、温暖化の影響がこういう形で表れています。まもなく訪れる冬を前にして、火力発電だけで日本の電力需要をまかなうのはかなり厳しいと見られます。(2)へつづく
*おことわり この記事は、2022年8月28日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




