youtube fund_beginer fund_search fund_look

国内市況ニュース

<相場の見方、歩き方>警戒心を抱きつつも、秋相場に備える局面

2022-08-22 08:00:00.0

 鈴木一之です。8月も中盤を過ぎました。今年のお盆休みも終わり、朝夕見上げる空は雲の高さにはっとします。秋はすぐそこまで来ています。

 それにしても今年の暑さは格別です。関東地方でも今年は猛暑日の日数が史上最高を更新するのは確実で、じっとしているだけで体力が奪われてゆきます。建築現場など屋外で働く方々のご苦労がしのばれます。

 暑い夏は景気がよいという経験則に則って、株式市場は堅調な動きを続けています。日経平均株価は今週、ついに2万9000円を突破しました。7カ月ぶりの高値水準に達しています。

 米国ではインフレ抑制のための政策金利の引き上げが進められていますが、2カ月にわたり市場を揺さぶった景気の先行きに対する悲観的な見方が急速に後退しています。7月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、市場内では積み上がったショートポジションの巻き戻しの動きが続いています。

 40年ぶりのインフレをもたらした「強すぎる経済」に対する警戒感は後退し、確かに米国経済は全体としてマイルドな成長に戻りつつある模様です。一方で企業業績はあいかわらずしっかりした状況が維持されています。

 今週はそのような状況が象徴的に表面化しました。住宅市場のマクロ経済統計の弱さとそれに対して住宅関連企業の好調な業績が同時に明らかになりました。

 米商務省からは7月の住宅着工件数が発表されました。季節調整済みで144.6万戸となり、前月比で9.6%の減少でした。水準としては1年5カ月ぶりという低い水準に減速しています。事前の予想は152万戸でした。

 中でも比重の大きな一戸建住宅は10.1%の減少でした。FRB(米連邦準備制度理事会)による急ピッチの金利引き上げで、住宅ローン金利が30年固定型で5%台まで上昇しています。これによって人々の住宅購入意欲は明らかに減退する方向に向かっています。

 NAHB(米住宅建設業協会)が発表している住宅市場指数は、8月は「49」と前月比6ポイントの低下となりました。今年1月から8カ月連続の低下で、コロナ危機直後の2020年5月に記録して以来の「50」の大台割れとなっています。金利上昇の効果はこの辺りに表れています。

 それに対して住宅関連企業の業績好調も続いています。今週はホーム・デポが5−7月期の決算を発表しており、売上高が437億ドル(前年同年期比7%増)、純利益は51億ドル(同8%増)と判明しました。売上げ、利益ともに市場予想を上回っており、いずれも四半期ベースの最高記録です。

 足元では住宅ローン金利が急ピッチで上昇しており、さらに木材をはじめあらゆる資材価格が値上がりしていることから、弱めの数字での着地が警戒されていました。しかし今回もまた心配は杞憂で終わりそうです。

 もちろんこれだけの経済データで喜ぶことはできません。より心配なのは米国ではなく中国です。同じ週に発表された中国の7月の主要都市の新築住宅の動向は、前の月と比べて販売価格が値下がりした都市が中国全土の57%に広がっています。

 都市の平均価格は11カ月連続で前月比マイナスとなりました。前年比では1.7%の値下がりとなっており、前年比でのマイナスは2015年9月以来のことです。この直前に人民元の切り下げ、いわゆる「チャイナ・ショック」が起こりました。

 戸建て住宅よりもマンションの販売が厳しいようです。資金繰りにひっ迫して完成が遅れるマンションが相次いでいます。

 また製造業の7月の工業生産も、前年同月比3.8%のわずかな増加にとどまりました。伸び率は6月の3.9%増から鈍化しています。上海のロックダウンは解除されましたが、内需の回復が遅れているようです。

 そこに今度は猛暑による電力不足が加わります。四川省、重慶省など内陸部ではダムの貯水量が下がり、水力発電の発電量が低下して工場には操業停止が求められています。この状態が長引けば、中国国内ばかりでなく海外向けでも供給不足が起こる可能性があります。

 ハードルをひとつ超えると次のハードルが出現します。サプライチェーンの乱れはいまだ完全には修復されず、株価が上昇したからと言って全面的に楽観的な見方にひたるわけにはいきません。警戒心を抱きながら、次の秋相場の展開にしっかり備えたいものです。荏原<6361>、丸紅<8002>、コスモエネルギーHD<5021>、ツガミ<6101>、ミズノ<8022>に注目しています。

 *おことわり この記事は、2022年8月21日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。

提供:モーニングスター社