国内市況ニュース
<相場の見方、歩き方>海外基準では日本の株式市場に変革の余地、株価にも上昇余地あり
2022-08-15 08:00:00.0
鈴木一之です。日本中がお盆休みに入りました。
コロナウイルスの感染拡大は続いていますが、3年ぶりに行動規制のない夏休みを迎えて、どこかしら街が沸き立っているように感じられます。唯一の気がかりは、東北地方を襲っている大雨です。被害が広がらないことを祈るばかりです。
株式市場では週末12日に日経平均株価が2万8000円の大台を突破しました。前週の米国・7月の雇用統計で強めのデータが出てきた時はインフレとの兼ね合いでヒヤリとしましたが、リセッションへの心配が後退するようになりマーケットではむしろ好感されました。
続く米・7月CPI(消費者物価指数)も同様です。物価の伸び率は前年同月比8.5%の上昇に収まり、前月よりも鈍化したことが市場心理を落ち着かせています。日経平均が6月高値を更新したことで、予断は許されませんが日米の株価は次のシナリオに向けて動き始めたように感じられます。
今週(8−12日)は米国のエヌビディア、マイクロン・テクノロジーズなど大手半導体メーカーの業績下方修正が大きな話題となりました。日本でもレーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>が相次いで決算発表を行い、市場の話題を独占しています。
世界最大の市況商品ともなった半導体市場は、ただでさえ先々の見通しを打ち立てるのがむずかしいものですが、最近は需給動向が短期的に変化するので輪をかけて複雑化しています。半導体ユーザーの生産計画がそれだけ小刻みに変更されているわけで、ごく目の前の状況さえわかりにくくなるという時代を迎えています。
だからこそ、より遠い未来の方がかえって把握しやすいのかもしれません。東京エレクトロンは今回の23年3月期第1四半期(22年4−6月)決算に合わせて、2027年度までの5カ年の中期経営計画を策定しました。それによれば、現在の売上高(2.3兆円)を5年後の最終年度には3兆円にまで引き上げることになっています。
レーザーテックの受注残高が5000億円を超え、東京エレクトロンも設備投資と研究開発投資を大幅に増額します。そのことと合わせてもデジタル全盛の現在、やはり半導体需要は長期的にかなり強い状況が続くととらえるべきでしょう。
今週のマーケットはもうひとつ、驚くべき事態が判明しました。アクティビティストのバリューアクト・キャピタルがトレンドマイクロ<4704>の株式8%強を買い集めて、大株主に登場したことです。
バリューアクトと言えば、オリンパス<7733>の大株主となって取締役を送り込み、粉飾決算によって評判が地に落ちたオリンパスの事業改革を進めたことで知られています。オリンパスの株価は現在も上場来高値を更新しています。
バリューアクトはオリンパスのほかにも、任天堂<7974>、JSR<4185>、セブン&アイHD<3382>の大株主となっています。いずれも時価総額が5000億円を超える大企業で、バリュー株というよりもグロース株の一種と見られます。外部からの経営への口出しは必要なさそうに見えますが、どうやら実体はそうではないのかもしれません。
昨年暮れにバリューアクトのパートナー、ロバート・ヘイル氏に日本経済新聞が行ったインタビューの中にヒントがありそうです。
バリューアクトは日本の企業に投資し始めて4年が過ぎたところだそうです。それまで米国や欧州で行っていた彼らの投資基準を、そのまま日本に当てはめても十分に成果が得られたと言います。それだけ変革の余地がある企業があると見ているのでしょう。単に保有資産や現預金の価値ばかりではありません。重要なのはガバナンスの改革です。
改革の余地などなさそうに見える日本の大企業ですが、海外からの基準で見ると必ずしもそうはならないということです。現在の株式市場にはそれだけ変革の余地があり、株価の上昇余地も備わっていると受け止めることができます。ファナック<6954>、日本農薬<4997>、三浦工業<6005>、KOA<6999>、住友林業<1911>に注目しています。
*おことわり この記事は、2022年8月14日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




