国内市況ニュース
<相場の見方、歩き方>インフレ進行をチャンスに変える、値上げの実力を備えた企業に注目
2022-06-27 08:00:00.0
―原材料高で企業は値上げに次ぐ値上げ―
鈴木一之です。季節の移り変わりが目まぐるしく進んでいます。夏至を過ぎたばかりだというのに全国各地で気温が30度を超えました。梅雨明けは例年以上に早まりそうで、日本中が猛暑に包まれそうです。
変化の度合いが増しているのは天候ばかりでなく、日常の暮らしも同じです。気がつけば毎日のように値上げに関するニュースが報じられています。
新聞等で伝えられるニュースを拾っただけでも片手に余ります。今週はカルビー<2229>が9月から「ポテトチップス」と「じゃがりこ」を値上げすると発表しました。今年1月に続いて2度目の、しかも最大20%の価格引き上げだそうです。
「ポテトチップス」は人気のうすしお味で希望小売価格は140円から155円に、「じゃがりこ」はサラダ味が150円から165円になります。原料のじゃがいもやパーム油が値上がりしていることがその理由だそうです。
スーパーのイオン<8267>は7月からプライベート商品(PB)のマヨネーズ、カップ麺、ティッシュペーパーを最大で25%、値上げするそうです。これによってマヨネーズは170円から213円になるとか。大台が100円台から200円台になると、もはや値上げは隠しようがありません。企業側もこれまでのような「ステルス値上げ」ではなく、堂々としたものです。収入の限られるご高齢世帯にはたまったものではありませんね。
世界的に食用油や物流費が上昇しており、それに伴って人件費も上がっています。企業側の低価格維持のための努力も限界に近づいており、それを取引先や消費者も受け入れ始めています。
前週は「中央銀行ウィーク」と呼ばれるほど、FRB(米連邦準備制度理事会)やイングランド銀行をはじめ各国の中央銀行が政策金利を引き上げました。すべてはインフレ抑制のためですが、それがすぐに効果を発揮するというものではありません。物価高騰の勢いはまさに燃え盛っているような状況で、少なくともこの勢いは秋口まで続くことでしょう。
企業にも、また庶民にとっても物価の高騰は苦しいものですが、しかし考えようによっては現在の諸物価が上がるという流れは企業にとっては朗報でもあります。原材料価格の上昇を販売価格に転嫁しやすい状況が生まれつつあります。
新聞ニュースの中に興味深い記事がありました。建設機械の大手、コマツ<6301>のCFO(最高財務責任者)・堀越健氏へのインタビュー記事です(日本経済新聞、2022年6月24日付)。
インタビューの中で堀越CFOは、米国の政策金利引き上げやウクライナ情勢への懸念、米国の住宅事情やシェールオイルのリグ稼働状況に触れた上で、販売価格の引き上げによる収益好転にも言及しています。
今期のコマツの業績見通しには今年1月に実施した10%の値上げ効果が含まれています。それだけで建機部門の利益押し上げが753億円に達する、ということですが、実際の値上げ効果はもう少し上乗せされることも明らかにしています。
―値上げが通る経営環境であれば不安はなし―
肝心な点は、値上げをしても顧客からの引き合いにはさほど影響が出ておらず、同業他社も値上げに追随しているという点です。これまでは値上げをするとすぐに需要が落ちて、荷余りとなった製品在庫が安くたたき売られて、それで価格が下落するという悪循環の繰り返しでした。それが今は各社とも生産が販売に追いつかず、安売りしたくても在庫がないという状況だそうです。
ロシアでの減損処理も大きくはないということですから、期が進めば今以上に値上げによる業績の増額に確信が持てるようになるでしょう。これは企業にとってようやくデフレからの脱却が進められていることになります。
景気の鈍化懸念が台頭して株価はしばらくもたつくかもしれませんが、値上げが通る経営環境であれば企業業績はさほど不安はありません。コマツをはじめ、住友重機械工業<6302>、東レ<3402>、DMG森精機<6141>、黒崎播磨<5352>、住友ゴム工業<5110>に注目しています。
*おことわり この記事は、2022年6月26日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




