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<相場の見方、歩き方>株式市場は暴風雨、安全志向の高い銘柄選びを―連続増配銘柄をマーク
2022-06-20 08:00:00.0
―後手に回ったFRBのインフレ対策―
鈴木一之です。6月の米FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。今週も波乱の動きが待ち受けていました。
米国のFRB(米連邦準備制度理事会)は予想されたように今年3回目の政策金利の引き上げを決定しました。予想外だったのは引き上げの幅が0.75%まで拡大した点です。
それを待ちかねたように、世界中の中央銀行が政策金利を一斉に引き上げ始めました。先週のECB(欧州中央銀行)に続いて、先進国ではイングランド銀行とスイス中央銀行が相次いで政策金利の引き上げを決定しました。これほどまでに短期的、集中的に複数国が利上げを行うのは尋常ではありません。それほどまでに現在進行中の物価上昇は深刻な事態と言えます。
唯一、日銀だけは我関せずと17日の政策決定会合で大規模な金融緩和の継続を決定しました。あおりを受けたのが株式市場です。NYダウ工業株と日経平均株価はかつてほどの連動性は薄れつつあるとの見方も出初めていましたが、リスク資産を圧縮する動きが強まっており、東京市場も週初から軟調な値動きを余儀なくされました。日経平均は週末に2万6000円の大台を割り込んでいます。
マーケット内部には、今回の物価上昇局面において、FRBは決定的に後手に回ったと判断している向きが増えています。現在のインフレのペースに対して、ここから急激な利上げを行うことは避けられないとの見方がかなりの勢力となりつつあります。
FRBの金融政策が実際の経済に対して影響し始めるには、あと数カ月はかかることでしょう。少なくとも前年比8.6%を記録した5月のCPI(消費者物価指数)上昇率の衝撃はしばらく残ることになりそうです。インフレがピークを越えたという市場の見方は楽観に過ぎるように取られています。
―金融引き締めは新興国、中国経済に大きな影響―
問題はここからです。少なくともふたつ、新興国からの資金流出と中国経済という波乱要因を抱えることになりそうです。
米国の利上げ局面では決まって周辺国のマーケットに悪影響が波及します。1995年のメキシコ通貨危機、2007年のサブプライム危機、2015〜16年のチャイナ・ショック。米国ほどの大国が金融引き締めを急ぐと、新興国に代表されるように地球のどこかに必ずしわ寄せがやってきます。
イタリアでは先週末から長期金利が急上昇しており、今回はEU(欧州連合)内の財務基盤の弱い国が不安材料の先頭とされています。
日本でも10年国債を除いた債券市場に売り圧力が蓄積しています。日銀が指値オペを通じて無制限の買い入れを行っている10年国債だけが別格で、残りの年限の国債や世界中の低格付け債にはプレッシャーが蓄積しつつあります。
もうひとつは中国です。今週発表された中国のマクロ経済統計には、景気の弱さを示すデータが数多く示されました。大都市のロックダウンの影響が如実に表れていると見られます。
中国の5月・小売売上高は前年同月比6.7%減で、3カ月連続でマイナスを記録しました。5月・工業生産も同0.7%増にとどまりました。4月の2.9%減からはプラスに浮上していますが、絶対水準としてかなり弱い動きです。
6月もまだコロナ禍の影響が中国社会の随所に残っており、これを受けて中国の4−6月期の成長率はマイナス圏に落ち込むとの予想が広まりつつあります。
エネルギー価格の上昇と景気のスローダウンで、世界経済そのものが推進力を失いつつあるような状況です。「スタグフレーション」の予想が現実のものとなり、株式市場は当面の暴風雨が過ぎ去るのを待っているような展開が続くでしょう。
マネーは安全志向を強めており、安全志向の高い銘柄選びが望まれます。日本曹達<4041>や千葉銀行<8331>の株価が一貫して上昇基調をたどっているのは、年々の配当金をしっかり積み増している点が評価されているように見られます。
業績が安定していて、かつ年間の配当金が増額され続けている企業には、下落局面でも売り圧力はさほど強まらないと見られます。そのような銘柄として、トーメンデバイス<2737>、ジャックス<8584>、SOMPOホールディングス<8630>、ツガミ<6101>、長瀬産業<8012>に注目しています。
*おことわり この記事は、2022年6月19日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。
提供:モーニングスター社




