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国内市況ニュース

<相場の見方、歩き方>株価の動きが示唆―日本経済の現状は思っている以上に強い

2022-06-06 08:00:00.0

―経済指標をにらみ世界の株式市場は一進一退―

 鈴木一之です。今週から6月相場に入りました。

 月末月初は中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)の発表に始まり、日本の鉱工業生産と失業率、米国のISM(サプライマネジメント協会)景況感指数、そして雇用統計と、経済統計の発表が活発になります。それらをにらみながら世界の株式市場は一進一退という展開を続けています。

 前々週から前週にかけて世界中のマーケットは神経質な動きを繰り返しました。その根っこの部分は、言うまでもなく米国市場の動きがあります。

 5月のゴールデンウイーク中のFOMC(米連邦公開市場委員会)を経て、FRB(米連邦準備制度理事会)による政策金利の引き上げが始まっています。6月になるとそこに量的引き締めもいよいよ加わります。果たしてFRBはインフレを抑え込むことができるのか。その点に世界中の投資家の目が釘付けとなっています。

 インフレの抑制にはある程度、景気の勢いをそがなければなりません。それがオーバーキルにならず米国経済を軟着陸させることができるのか。その点が問われています。

 そもそも今回のインフレは、新型コロナウイルスの感染拡大とその後のウクライナ危機によってもたらされています。景気が良すぎて物価が上昇する、という需要サイドの問題よりも、明らかに物流の乱れや資源エネルギー価格の高騰につながる供給サイドが問題となっています。

 それをFRBの金融政策だけで食い止めることができるのか。そのような根本的な部分で疑問を抱えたままスタートを切っているわけです。市場が神経質にならざるを得ないのもよくわかります。その不安感によって米国の株式市場の8週連続で下落するという、歴史的な記録をもたらしたと見ることができます。

 前週はそれが9週ぶりにようやく反発に転じました。しかも今度は6日間の続伸という、これまためったに見られない強い動きを示しています。果たして米国の景気動向と世界の経済情勢は強いのか、弱いのか。この部分の判断が日に日にむずかしくなっています。

―企業の設備投資の動きは依然として活発―

 ひとつの朗報は、上海市のロックダウンが6月から解除された点です。混迷するウクライナ情勢の影響を見極めたいという空気は強いのですが、世界のマネー市場は不安感を抱えながらなんとかしのいでいるという状況が続いています。

 そのような緊張感を抱えたまま過ぎ去った今週(5月30日−6月3日)の株式市場でしたが、週が進むにつれて次第と市場の環境が明るくなってきたようにも感じられます。ひとつには、企業からの設備投資の動きが依然として活発に見られる点にあります。

 今週もパナソニックが事業戦略を説明するミーティングで、3600億円を投じて日本国内と欧州向けに空調設備を増産するという設備投資計画を明らかにしました。この計画によって、2024年度までに3年前比で6割の生産能力の増強を目指すことになります。

 空調設備の需要がそんなに強いのかと外部の人間としては不安になりますが、やはりそれだけ社会全体の省エネニーズは活発なのでしょう。最新の空調設備に変えて脱炭素化の道を探る動きが顕在化しているようです。

 またそれと呼応するような形で、株式市場の動きとしても、今週は景気敏感セクターの株価がいずれもしっかりしていることが目に止まりました。設備投資の中核と言えば機械セクターですが、このジャンルからはオークマ<6103>、牧野フライス製作所<6135>、NTN<6472>、日立造船<7004>などが年初来高値を更新しました。

 同じように素材セクターの化学・鉄鋼株の中からも、日本曹達<4041>、旭有機材<4216>、デクセリアルズ<4980>、日本特殊塗料<4619>、神戸製鋼所<5406>、大和工業<5444>の株価がいずれも堅調です。

 小売セクターでは5月の月次売上が好調で、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、ユナイテッドアローズ<7606>、ハイデイ日高<7611>がいずれもしっかりしています。

 これらの企業の株価は、景気が本当によくなっていないと動きません。それが目の前で上昇力を強めています。株価の動きから世の中を俯瞰するならば、日本経済の現状は実は思っている以上に強いことになります。そのような動きが起こり始めています。

 6月は株主総会の季節です。設備投資が活発化する世の中は元気がでます。引き続き企業からの発表に気をつけておきたいものです。

 *おことわり この記事は、2022年6月5日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。

提供:モーニングスター社