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ECB、超低金利政策を維持―緊急債券買い入れペースを「適度に」減速へ
2021-09-10 11:22:00.0
<チェックポイント>
●21年成長率見通しを4.6%増から5.0%増に上方修正
●ECB総裁、「インフレ加速はおおむね一時的」と指摘
●従来の資産買い入れプログラム「APP」も据え置き
欧州中央銀行(ECB)は9日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%に、また、下限の中銀預金金利もマイナス0.50%に、上限の限界貸出金利も0.25%に、いずれも据え置くことを全員一致で決めた。市場予想通りだった。据え置きは前回7月会合に続いて11会合連続。
また、コロナ危機に対応して導入した緊急債券買い入れプログラム「PEPP」の規模を1兆8500億ユーロ、運用期限を22年3月末までとする措置も据え置いた。
その上で、市場が注目していたテーパリング(量的緩和の段階的縮小)については、ECBは声明文で、「PEPPによる資産買い入れペースを前2四半期よりも適度に減速することで、好ましい資金調達状況(低金利での資金調達)を維持できると判断した」とし、現在の月800億ユーロの資産買い入れペースを引き下げる方針を決めた。
ラガルドECB総裁は20年12月、会合後の会見で、PEPPのテーパリングの可能性について、「債券買い入れ枠(1兆8500億ユーロ)を全部使い切る必要はない」と述べ、景気が上向けば債券買い入れを減額する可能性を示唆したが、今回の声明文でも同文言を残した。一方で、「新型コロナのパンデミックショックに立ち向かうため、(国や企業、家計にとって)好ましい金融状況(低金利での資金調達)を維持する必要があれば、買い入れ枠を調整することができる」と、減額と増額の両方の可能性を残している。
ECBは今回の会合でもPEPPの期限が到来する22年4月以降は新規の買い入れを行わない代わりに、国債の満期償還金を再投資する、いわゆるロールオフ(過剰流動性を吸収するための不胎化政策)を行う方針も据え置いた。ロールオフの期限についても20年12月会合で1年延長が決まった23年12月末までとする方針も据え置いた。
さらに、従来からの資産買い入れプログラム「APP」の下で、19年11月1日から月200億ユーロのペースで資産買い入れを実施しているが、この買い入れ規模も据え置いた。再投資による資産買い入れの終了時期についても、ECBは声明文で、「望ましい流動性の状況や十分な金融緩和を維持する必要がある限り、ECBが利上げを開始するまで続ける」とした。
このほか、ECBは銀行による中小企業や家計向け融資の拡大を目指すTLTRO3(貸出条件付き長期資金供給オペ)の貸出条件の緩和措置も据え置いた。
ECBは前回会合で物価目標を従来の「2%弱」から「シメントリック(上下が対称)な2%上昇」に変更することを正式決定し、ECBの新しいフォワードガイダンス(金融政策の指針)としたが、これも据え置いた。
ECBは20年6月、ユーロ圏各国中銀が予防的な観点から短期のユーロ資金をいつでもレポ取引により調達できるスタンディング・レポ・ファシリティ(SRF)「EUREP」の導入を決めたが、この運用期間も22年3月末まで9カ月延長される。
また、今回の会合では21年のインフレ見通しを前回6月予測時点の1.9%上昇から2%上昇に引き上げた。22年のインフレ率も1.5%上昇から1.7%上昇に、23年も1.4%上昇から1.5%上昇に、それぞれ引き上げたが、物価目標(2%上昇)を下回っている。GDP(域内総生産)見通しについては、21年の成長率を従来予想の4.6%増から5.0%増に上方修正した。22年は4.7%増から4.6%増に下方修正し、23年は2.1%増に据え置いた。
ラガルド総裁は会合後の会見で、ユーロ圏経済の見通しについて、「ユーロ圏の4−6月期GDPは予想を超える前期比2.2%増に回復した。これはワクチン接種キャンペーンが成功した結果で、著しい経済再開が可能となった。景気見通しの上ブレ・下ブレリスクは均衡している」とした。最近のインフレ加速(8月は前年比3%上昇)懸念についても、同総裁は、「インフレの加速はおおむね一時的と考えられ、足元の物価上昇圧力は徐々に高まってくる」とし、改めてハト派姿勢を強調した。
次回の会合は10月28日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




