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英中銀、政策金利を据え置き―1委員が量的金融緩和の減額を提案
2021-08-06 10:41:00.0
<チェックポイント>
●量的金融緩和、1委員が450億ポンド減額を提案
●減額開始は政策金利が0.5%に引き上げられた時点―ベイリーBOE総裁
●BOE、「デルタ株感染拡大の英国経済への影響は段々と薄れる」と予想
イングランド銀行(英中銀、BOE)は5日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を過去最低水準の0.10%に据え置くことを全員一致で決めたことを明らかにした。市場予想通りだった。
非伝統的な金融緩和措置である量的金融緩和(QE)についても、総額8950億ポンド(8750億ポンドの国債買い取り枠と200億ポンドの投資適格級の社債買い取り枠)の資産買い入れ規模を賛成多数で据え置いたが、8人の委員のうち、インフレリスクを重視するタカ派(強硬派)で知られるマイケル・サンダース委員が反対し、国債買い取り枠を8300億ポンドに450億ポンド減額することを提案した。
現在の資産買い入れプログラムは12月末に終了する計画だが、サンダース委員は前倒しで早期に終了するよう主張した。同委員はその根拠として、英国経済が回復し、インフレ率が4%上昇と加速していることを挙げ、「需要過多の経済状況が今後も長く続き、インフレ率は2−3年後に物価目標の2%上昇を超え続ける可能性が高い」と懸念を示した。
QE規模の据え置きは市場の想定通りだったが、BOEがどの程度、タカ派にシフトするかに注目している。
BOEはテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)について、議事抄録で、「多くの委員はフォワードガイダンス(金融政策の指針)で定めた、将来、金融引き締めが必要となる条件を満たしていないと判断した」、「数人の委員はGDPや雇用は中期達成目標をかなり下回っており、新型コロナ(デルタ株)感染拡大による景気下ブレリスクを考慮すると、景気が回復し、物価目標を持続的に達成できるような道筋ができているとは言えない」とタカ派へのシフトは時期尚早との考えを強調している。
また、失業率が低下し、景気回復が進んできているものの、BOEは今回の声明文でも、「適切な金融政策の決定は目先の一過性で終わる可能性が高い要因に基づくよりも中期的なインフレやインフレ期待の見通しに基づくべきだ」とし、その上で、「2%上昇の物価目標が持続的に達成されるか、または、経済全体の余剰生産能力(spare capacity)が解消されない限り、金融引き締めは行わない」としたフォワードガイダンス(20年下期に採用)を維持し、当面、低金利政策を継続する考えを示した。
ベイリーBOE総裁も記者会見で、QE縮小は「政策金利が0.5%に引き上げられた時点で開始したい」との認識を示している。
BOEは今回の会合で最新の8月経済予測を盛り込んだ金融政策報告書を公表し、「デルタ株の感染が拡大しているが、英国経済への影響は時間の経過とともにどんどん薄れていくと想定している」とした。
8月経済予測によると、21年のGDP(国内総生産)見通しは7.25%増と、前回5月予想時点と変わっていない。むしろ、22年は6.00%増と、前回予想の5.75%増から上方修正した。23年も1.50%増(前回予想1.25%増)と上方修正している。
8月経済予測の21年のインフレ見通しは4.0%上昇と、前回予想時点の2.5%上昇を1.5ポイント上回ると予想している。22年は2.5%上昇(前回予想2%上昇)と予想したが、23年は2%上昇と、前回予想と変わっていない。BOEは声明文で、「主にエネルギー価格やコモディティ(国際相場商品)相場の上昇によるもので、この一時的な影響が薄まれば、インフレ率は中期的に約2%上昇の水準に戻る」と楽観的に見ている。
失業率の見通しは21年が4.75%と、前回予想の5.00%から上方修正(改善方向)された。22年は4.25%、23年も4.25%と、いずれも前回予想と変わらず、デルタ株による悪影響は示されていない。
BOEの次回会合は9月23日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




