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ECB、4−6月期に資産購入ペース加速へ―長期金利上昇を抑止
2021-03-12 10:29:00.0
<チェックポイント>
●緊急債券買い入れ制度「PEPP」の1兆8500億ユーロ枠を据え置き
●低金利政策を据え置き―現行または下回る水準を物価目標達成まで継続の方向
●1−3月期GDPは2期連続でマイナス成長の可能性高い―ラガルドECB総裁
ECB(欧州中央銀行)は11日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%に、下限の中銀預金金利をマイナス0.50%に、上限の限界貸出金利を0.25%に、いずれも据え置くことを全員一致で決めた。政策金利の据え置きは前回1月会合に続いて7会合連続となる。
ECBは会合後に発表した声明文で、今後の金融政策について、前回会合時と同様、「今後は経済予測の期間中、インフレ見通しが2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に十分に収束するまで、ECBの政策金利は現在の水準か、または、一段と低い水準となることが予想される」と、前もって将来における金融政策の方針を表明するフォワードガイダンスを示しつつ、将来の利下げに含みを残した。ただ、市場では利下げ余地は少ないとみている。
また、新型コロナ危機対策として導入した緊急債券買い入れプログラム「PEPP」の規模を1兆8500億ユーロ(約240兆円)、運用期限を22年3月末までとした措置も据え置いた。PEPPは20年3月18日の緊急理事会で導入された。当初は20年12月までに7500億ユーロだったが、6月会合と12月会合で増額と期間の延長を決めている。
一方、ECBは今回の会合で初めて、「PEPP」購入ペースを速める考えを示した。これはバイデン米大統領の1兆9000億ドル(約200兆円)の追加景気刺激策によりインフレが加速するとの懸念で米長期債利回りが急伸し、米国の株価が急落したのをきっかけに、欧州でもここ数週間、長期金利が上昇し、金融市場がタイトになったことについて、ECBが強い懸念を示したことを意味する。
これを受け、ドイツの長期金利の指標である10年国債の利回りが急低下した。市場では、資産買い入れペースが4月だけにとどまらず、「4−6月期」と3カ月間を明示したことや、政策金利の見通しについても追加利下げではなく、現状維持としたことから、ECBは景気リスクを重視し、もう一段の景気刺激を求めるハト派(金融緩和派)により強く傾いたと見ている。
ただ、ラガルドECB総裁は20年12月、会合後の会見で、PEPPについて、「債券買い入れ枠(1兆8500億ユーロ)を全部使い切る必要はない」と述べ、景気回復が強まれば債券買い入れを減額する可能性を示唆したが、今回の会合でも、ECBは声明文で、「債券買い入れ枠を全部使い切る必要はない」と明記した。
ECBは今回の会合で最新の経済予測を発表した。ラガルド総裁は会合後の会見で、経済予測について、「インフレは上昇したが、インフレ上昇圧力は弱い」とした上で、「前回12月予測とはほとんど変わっていない。中期的にはインフレ率は物価目標の約2%上昇を下回り続ける」とした。最新の3月経済予測では、21年のユーロ圏のインフレ見通しを1.5%上昇(前回予測は1%上昇)、22年は1.2%上昇(同1.1%上昇)と、前回予測から引き上げたが、23年は前回と変わらずの1.4%上昇とした。
一方、景気見通しについては、21年ユーロ圏GDP(国内総生産)見通しを4.0%増と、前回予測の3.9%増からやや上方修正したが、22年は4.1%増と、前回予測の4.2%増からやや下方修正した。23年は従来予想の2.1%増を据え置いた。20年の見通しについては前回予測の7.3%減から6.9%減に上方修正した。ラガルド総裁は会見で、「前回予測と概ね変わっていない。景気の上ブレ・下ブレの両リスクは均衡している」とした。
ただ、同総裁は、「ロックダウン(都市封鎖)の延長によるサービス業への悪影響や個人消費が依然弱く、景気回復のペースが不確実のため、企業投資が抑制しているため、1−3月期のユーロ圏のGDPは(前期比で)マイナスに落ち込む可能性が高い」とし、マイナス成長となった20年10−12月(前期比0.7%減)に続いて、2期連続のマイナス成長となり、リセッション(景気後退)となる見通しを示した。
次回の会合は4月22日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




