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金融・経済ニュース

ECB、政策金利を現状維持―緊急債券買い入れ規模・期限とも据え置きを決定

2020-09-11 10:03:00.0

<チェックポイント>

●買い入れ債券の満期償還金は再投資方針を維持

●20年GDP見通しをマイナス8%に上方修正

●ユーロ高はインフレを押し下げる範囲内で慎重に注視―ラガルドECB総裁

 ECB(欧州中央銀行)は10日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.50%、上限の限界貸出金利を0.25%に、いずれも据え置くことを全員一致で決めた。政策金利の据え置きは前回7月会合に続いて3会合連続。市場予想通りだった。

 ECBは会合後に発表した声明文で、金融政策運営について、前回会合時と同様に、「今後は経済予測の期間中、インフレ見通しが2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に十分に収束するまで、ECBの政策金利は現在の水準か、または、一段と低い水準となることが予想される」と将来の利下げに含みを残した。これは、市場と対話を重視し、前もって将来における金融政策の方針を表明するフォワードガイダンス。ただ、市場では利下げ余地は少ないとみている。

 量的金融緩和(QE)についても、3月18日の緊急理事会で、コロナ危機対策として導入を決めた緊急債券買い入れプログラム(PEPP)の規模を現在の1兆3500億ユーロに据え置く。

 PEPPは既存の資産買い入れプログラム(APP)とは別に導入されたもので、債券買い入れを増額することにより、ユーロ圏域内の長期金利の低下を促し、企業や家計の借り入れコストを引き下げ、景気を支援するほか、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)を防ぐことを狙いとしている。

 また、今回の会合でもPEPPの期限を21年6月末までとし、買い入れ期限が到来する21年7月以降についても、22年12月末まで満期償還金を再投資する方針を据え置いた。

 ただ、市場の一部ではECBは今後、PEPPの1兆3500億ユーロの買い入れは上限という考え方に変更する、または12月会合でPEPPの実施期間を21年6月末から同12月末まで延長した上で、規模も約3兆5000億ユーロに拡大する可能性があると予想している。この点について、ECBのラガルド総裁は、「PEPPが限度いっぱいに使われる可能性はかなり高い」と将来の買い入れ拡大に含みを持たせた。

 今回の会合で、政策金利やPEPPの規模を据え置いた背景には、新型コロナ危機によるユーロ圏のリセッション(景気後退)懸念が残るものの、20年のユーロ圏GDP(域内総生産)が6月時点で予想されたマイナス8.7%ほど、悪化しない見通しが出てきたことがある。

 ECBが今回発表した最新のユーロ圏の経済見通しでは、20年のGDPがマイナス8%と改善方向に上方修正された。21年はプラス5.0%(前回6月予想時はプラス5.2%)、また、22年はプラス3.2%(同プラス3.3%)となっている。ラガルド総裁は会見で、ユーロ圏経済の現状認識について、「ユーロ圏の経済は強い回復を示している」、「経済活動の水準はパンデミックの前の水準に比べてかなり低い」とした上で、「景気回復の先行きについては、パンデミックが今後どうなるかよって大きく左右される」と慎重姿勢を示している。

 総裁会見ではユーロ高の進行とデフレ懸念に市場の関心が強まった。ラガルド総裁は、「ユーロの上昇がインフレを押し下げる範囲内で慎重にモニターする必要がある」とした。

 また、同総裁は、8月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が前年比マイナス0.2%(コアインフレ率はマイナス0.4%)と、4年ぶりにマイナスになったことについて、ドイツのVAT(付加価値税)減税による影響を指摘した。今回発表した最新の経済予測では、20年のインフレ率の見通しは1.2%上昇(前回6月予想時点でも1.2%上昇)、21年は0.3%上昇(同0.3%上昇)、22年は1.3%上昇(同1.3%上昇)と、従来見通しと変わっていない。市場では22年のインフレ見通しが1.3%上昇より低下した場合、物価目標(2%弱)との乖離幅が広がるため、景気刺激の可能性が一段と高まると見ていた。

 また、ECBは今回の会合でもAPPの継続および満期償還金の再投資を継続する方針も据え置いている。

 次回の金融政策決定会合は10月29日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社