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英中銀、政策金利を据え置き―量的金融緩和(QE)規模を年内1000億ポンド増額
2020-06-19 09:44:00.0
<チェックポイント>
●4−6月期GDP見通しをマイナス20%に上方修正―前回予想はマイナス27%
●「4−6月期は一時帰休者が急増する可能性高い」と予想
●今秋にQE規模500億ポンド増額、21年にかけ2500億ポンド増額―市場観測
イングランド銀行(BOE、英中銀)は18日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を過去最低の0.10%に据え置くことを全員一致で決めた。
また、非伝統的な金融緩和措置である量的金融緩和(QE)の規模を年末までの時限で、1000億ポンド増額し、総額7450億ポンドに拡大することも8対1の賛成多数で決めた。1名は買い入れ規模現状維持を主張した。前回5月会合では1000億ポンドの増額を主張していたのは2委員にとどまっていた。また、市場ではBOEは今回の会合で一段と積極的な政策を打ち出すと予想していたが、予想通りの結果となった。
BOEは3月19日の臨時会合で2000億ポンド増額し、総額6450億ポンドとした。今回の会合では、20年の英国経済が大幅なマイナス成長となり、失業者の急増が長期化する見通し、さらにデフレ(物価下落)懸念が一段と強まったことを受け、1000億ポンドを増額した。
会合後に発表された議事抄録によると、BOEは4−6月期GDP(国内総生産)がマイナス20%になると予想している。これは前回会合時のマイナス27%から上方修正しているが、それでも大幅なマイナスには変わりはない。
BOEのベイリー総裁は、QE規模を拡大したことについて、リシ・スナク財務相に書簡を送り、同相の承認を求めた。その上で、1000億ポンドの財源についてはBOEが発行する出資証券を民間銀行に売却することにより、買い入れ資金を調達するとしている。これにより、市中銀行が中銀に預ける所要準備預金を上回る過剰積立高を減らす効果も期待できる。
景気見通しについては、「4月のGDPは約マイナス20%と3月のマイナス6%から急激に落ち込んだ。その後、5−6月は個人消費が持ち直し、GDPも回復し始めたものの、求人数や雇用者数でみると、労働市場はかなり悪化している。4−6月期は相当数の一時帰休者が急増する可能性が高く、今後数四半期は弱い雇用見通しが続く」「失業が今後、一段と長期化し、深刻化するリスクがある。また、経済活動に対する規制緩和があるもの、それでも家計や企業の慎重な消費行動が長期化する可能性が高い」としている。
インフレ見通しについては、「インフレ率はパンデミック(感染症の世界的流行)により、5月に前年比0.5%上昇と、4月の0.8%上昇や3月の同1.5%上昇から急減速した。インフレ率は今後数四半期、需要の低迷により、物価目標(2%上昇)をかなり下回る見通しだ」としている。
一部のエコノミストは、BOEの今回の資産買い入れの増額の狙いについて、下期(7−12月)の失業者の増大やデフレの長期化に対処するための景気刺激だけではなく、新型コロナ危機対策で政府が多額の財政支出を余儀なくされ、今夏に大量の国債発行を控えていることから、BOEの国債買い入れの増額によって、国債が市場でだぶつくのを防ぐ狙いがあると見ている。
また、市場では政府の今年度の国債発行額が4000億ポンドに達する見通しとなっているため、今回の1000億ポンドの増額では夏までの国債買い入れには持ちこたえるが、それ以降の国債増発に備えるため、BOEは今秋(11月ごろ)にさらに500億ポンドの増額、来年にかけて2500億ポンドを増額するとみている。
一方、BOEは、「注意深く状況を判断し、経済を支えるため、インフレ率を物価目標に戻すため、さらなる追加措置を講じる用意がある」「資産買い入れを見直し続ける」とも述べ、さらなる増額に含みを持たせている。
BOEの次回会合は8月6日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




