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米4月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比2050万人減―失業率は戦後最悪
2020-05-11 09:18:00.0
<チェックポイント>
●非農業部門雇用者数2カ月連続大幅減も市場予想下回る―米株市場急伸
●失業率は14.7%と、1933年以来87年ぶりの大幅悪化も市場予想下回る
●平均時給、前年比7.9%増―3月は同3.3%増
米労働省が8日発表した4月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比2050万人減と、3月の同87万人減を上回り、2カ月連続の大幅減少となった。月間ベースで純減となったのは10年9月以来約10年ぶり。ただ、減少幅は市場予想コンセンサスの同2150万人減を下回った。中国で発生した新型コロナウイルス(COVID−19)のパンデミック(感染症の世界流行)の悪影響が大きく表れる格好となった。
業種別では、建設業や製造業に加え、サービス業であるレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)や専門・ビジネスサービス業、小売業、教育・ヘルス(健康サービス)業の新規雇用の減少が顕著となり、これらの業種だけで全体の減少幅の80%超を占めた。
政府の雇用統計は約85万社(個人事業主含む)を対象に調査した事業所統計と、約6万世帯を対象に聞き取り調査した世帯統計からなり、雇用者数の増減は事業所統計、失業率は世帯統計で示される。今回、失業者数は前月比1593万8000人増の2307万8000人。
ただ、失業者数のうち、約80%に相当する1806万3000人(3月は184万8000人)は「一時帰休による失業者」に分類されている。これを踏まえ、クドローNEC(米国家経済会議)委員長は、「ロックダウン(都市封鎖)の段階的緩和による経済活動の再開が進む下期には、一時帰休の失業者が職場に復帰し、雇用が急回復し、失業率も急低下する」との見方を示した。一方、コロナ感染爆発の第2波が起きる可能性は否定できず、実際に下期から雇用が急回復するかは不透明で、市場では景気回復に数年かかるとの慎重な見方も少なくない。
4月の失業率は14.7%と、3月の4.4%から大きく悪化。これは1930年代の世界大恐慌以降で統計記録が残されている1933年の24.9%以来87年ぶりの高水準で、戦後最悪となったが、市場予想の16%を下回った。
失業率が市場予想を下回ったのは、コロナウイルス関連で仕事を一時的に休んだ人のうち、無給の場合は失業者に分類されたが、有給で休んだ場合は失業者に分類されなかったためとみられている。労働省では、「もし、有給で自宅待機となった人が雇用者ではなく失業者として分類されれば、失業率は約5ポイント高くなった」と指摘している。
その意味では、4月統計の深刻度を示す失業率として、広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた、実質の失業率)を見た方が適切で、この広義の失業率は3月の8.7%から4月は22.8%に急上昇した。
4月雇用統計を受け、ダウ工業株30種平均は寄り付きから急伸し、終値が1.91%高となった。また、10年国債利回りは、統計発表後の米東部時間午前9時20分時点で前日比0.027ポイント上昇の0.666%となった。
安全資産の国債が売られる一方で、株式相場が急伸したのは、コロナ危機で当面は高失業率が米経済の成長を抑制すると見られるものの、非農業部門雇用者数の落ち込みが市場予想より少なかったことや、失業者の約80%が一時帰休による失業者であることから下期の雇用の急回復が期待され、市場に安ど感が広がったからだ。
一方、過去2カ月の非農業部門雇用者数は、3月分が前回発表の前月比70万1000人減から同87万人減に、2月分が同27万5000人増から同23万人増に下方改定され、2カ月で計21万4000人の下方改定となった。この結果、過去3カ月間(2−4月)の月平均の雇用者増が965万7000人減と、3月時点の14万2000人増から急減速した。
労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)も60.2%と、3月の62.7%を下回り、73年以来47年ぶりの低水準となった。
平均時給は、前月比が4.7%増(3月は同0.5%増)、前年比も7.9%増(3月は同3.3%増)といずれも前月を大幅に上回った。高賃金の労働者よりもサービス業を中心とした低賃金の労働者が多く失業したため。
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