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金融・経済ニュース

ECB、新型コロナ対策で流動性潤沢供給へ―政策金利は据え置き

2020-03-13 10:37:00.0

<チェックポイント>
●20年末までの資産買取額を1200億ユーロ増額

●中小企業や家計向け低金利融資拡大狙った「TLTRO3」の条件緩和

●政策効果に懐疑的―イタリアなど国債利回り上昇し債務危機懸念強まる

 欧州中央銀行(ECB)は12日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%に、下限の中銀預金金利もマイナス0.50%に、上限の限界貸出金利も0.25%に、いずれも据え置くことを全員一致で決めた。

 最近のFRB(米連邦準備制度理事会)とBOE(英国中央銀行)がいずれも0.50ポイントの緊急利下げに踏み切ったため、市場ではECBも0.10−0.13ポイントの利下げを行うと予想する一方、追加利下げによるマイナス金利の深堀りは緩和効果よりも過度な金利低下で銀行の預貸金利ザヤが縮小し、金融仲介機能が阻害され逆効果となるリバーサル・レートに接近するとの懸念から金利据え置きを予想する見方に分かれていた。

 ECBは会合後に発表した声明文で、金融政策の見通しについて、「今後は経済予測の期間中、インフレ見通しが2%をやや下回る水準(物価目標)に十分に収束するまで、ECBの政策金利は現在の水準か、または、一段と低い水準となることが予想される」と前回1月会合時の文言を維持した。これはECBが19年9月に初めて採用した、中銀が市場と対話を重視し、前もって将来における金融政策の方針を表明するフォワードガイダンスとなっている。

 利下げは見送られたものの、新型コロナ対策関連の景気支援パッケージとして資産買い取りの増額と、19年に導入された低金利融資制度「TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)」の第3弾(TLTRO3)を強化する措置を新たに打ち出した。

 ECBは、19年11月1日から月200億ユーロのペースで資産買い入れを実施しているが、今回の理事会でさらに20年末までの時限措置として、民間セクターを中心に資産買い取りをネットベースで計1200億ユーロ増額することを決めた。

 TLTRO3は19年9月19日から導入され、銀行による企業や家計への貸し出し拡大を目指しているが、これまで21年3月末までとしていた期間を、21年6月末まで延長する。TLTRO3に基づいて、ECBはユーロ圏内の銀行に対し、適格貸出金残高の最大30%まで直接貸し出すが、今回の措置では「最大50%」に引き上げられた。貸出期間は3年間となっている。

 また、TLTRO3の銀行への貸出金利についても、従来は「過去のリファイナンス金利の平均と同じ水準を適用する」となっているが、今回の特別措置により、20年6月24日から21年6月23日までの期間中は「過去のリファイナンス金利の平均を0.25ポイント下回る水準を適用する」と事実上、金利を引き下げる。

 ECBは今回の会合で、域内GDP(国内総生産)伸び率の見通しを下方修正した。20年は0.8%増(19年12月時点は1.1%増)、21年は1.3%増(同1.4%増)とした。ただ、この見通しにはウイルス感染の影響は考慮されていない。インフレ見通しは20年が1.1%上昇、21年は1.4%上昇、22年は1.6%上昇と、いずれも前回予想時と変わっていない。

 ラガルドECB総裁は会合後の会見で、今回の決定について、「欧州経済は新型コロナウイルス感染拡大で大きなショックを受けている」との認識を示した上で、「今回の金融措置は金融政策が支援できる分野に的を絞った、外科手術的なもの」と強調した。

 ECB理事会を受け、欧州株式市場ではストックス欧州600指数が一時10%近く急落し、金融政策の効果に懐疑的な反応を示している。欧州債券市場では利下げが見送られたことや資産買い取り増額も不十分として、イタリアやポルトガル、スペインの国債が投げ売りされ、利回りが急上昇。欧州債券市場のリスクのバロメーターとなっているイタリアとドイツの国債の利回り格差(スプレッド)が19年6月以来9カ月ぶりの高水準にまで拡大した結果、ユーロも対ドルで急落した。

 次回の理事会は4月30日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社