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豪準備銀行、政策金利を0.50%に引き下げ―市場予想通り
2020-03-03 15:17:00.0
<チェックポイント>
●新型コロナウイルス感染拡大により完全雇用と物価目標の達成遅れる見通し
●雇用と経済活動を支えるため、一段の金融緩和が適切と判断
●豪州経済を支えるため、さらに金融政策を緩和する用意がある―追加利下げに含み
豪準備銀行(RBA)は3日の理事会で、政策金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR、銀行間取引で使われる翌日物貸出金利)を0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.50%とすることを決めた。市場予想通りだった。利下げは19年10月以来5カ月ぶり。
市場では2月末時点で据え置き予想が大半を占め、利下げ確率は15%にとどまっていた。ただ、週明けの3月2日、中国で発生した新型コロナウイルス(COVID−19)の世界的な感染拡大、特に、豪州にとって重要な貿易パートナーである中国の景気後退懸念が強まり、豪利下げを予想する金融機関が一気に増えた。
RBAのロウ総裁は前回2月会合で、利下げのメリット(景気刺激によるデフレ脱却)よりもデメリット(金利の下げ過ぎによる家計債務の増大やリバーサルレートへの接近)が大きいとの判断から据え置きを支持していたが、2月28日にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が特別声明を発表し、0.25−0.50ポイントの米利下げの可能性が急速に高まったほか、ECB(欧州中央銀行)も12日の会合で利下げに踏み切る可能性が高まり、RBAも再び利下げに動いた。市場の一部ではRBAは次回4月7日会合でも0.25ポイントの小幅利下げを実施すると予想している。
RBAは政策決定会合後に発表した声明文で、利下げを決めたことについて、「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対応し、豪州経済を支えるため」とした上で、「当初、世界経済の減速は終わりに近づくと見ていたが、ウイルス感染拡大がいつまで、また、どこまで深まるか不透明だが、それにより世界経済は今年前半、予想以上に減速する見通しだ。中国含め、海外の中銀は景気支援の金融政策をすでに発表している」、「米国など多くの国の中銀は今後、数カ月以内に一段の金融緩和(利下げ)を行うとみられる」と各国中銀との協調利下げの必要性の観点からも利下げを決めたことを明らかにした。
また、「ここ最近は豪ドルレートが数年ぶりの低水準に下落し、長期国債利回りも過去最低水準に低下している。海外ではウイルス感染拡大の経済へのリスクを受け、(株価暴落など)金融市場の混乱も見られる」と懸念を示した上で、「RBAは豪州の金融システムが潤沢な流動性を持つようにする」と金融市場の安定に必要な措置を講じる考えを示した。
豪州経済の見通しについては、「ウイルスの世界的感染拡大は豪州経済、特に、教育や観光のセクターに深刻な悪影響を及ぼす」、「豪1−3月期GDP(国内総生産)伸び率は予想を下回る可能性が高い」とした。
また、「ウイルス感染拡大が沈静化すれば、豪州経済は回復に向かう」とし、「経済見通しは低金利と高水準のインフラ投資、豪ドル安、資源セクターの回復、予想される住宅建築と家計消費の回復によって支えられる。豪州政府もウイルス感染で最も影響を受けた経済セクターへの支援を行うと表明している」と述べ、政府の財政出動により、RBAの低金利政策の効果を高めたい考えを示した。モリソン豪首相も3日、景気刺激のための財政出動を準備していることを表明している。
雇用市場については、失業率が1月に5.3%(19年12月は5.1%)に上昇し、19年4月以降では約5.25%となっていることから、完全雇用の5%を超え、失業率が悪化し続けていることに懸念を示した。賃金の見通しについては前回会合時と同様に、「賃金の伸びは当面、弱い状態が続く」とし、インフレ率を2−3%上昇の物価目標の範囲内で持続するためには賃金の一段の上昇が必要との認識を維持した。
今後の金融政策スタンスについては、「ウイルス感染拡大により、豪州では完全雇用と物価目標の達成が遅れる見通しのため、今回、雇用と経済活動を支えるためには一段の金融緩和が適切と判断した。今後もさまざまな動向を注視し、コロナウイルスの経済への悪影響の程度を判断する」とし、「われわれは豪州経済を支えるため、さらに金融政策を緩和する用意がある」と追加利下げに含みを持たせた。
次回会合は4月7日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




