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英中銀、賛成多数で政策金利と量的緩和策を維持―2委員前回に続き利下げ主張
2019-12-20 10:16:00.0
<チェックポイント>
●英国と世界景気の安定、世界的な金融緩和環境に基づき現状維持を決定
●多数の委員が英国経済は20年初めに回復するとの見通しに自信示す
●金融政策の転換は将来のブレグジットの進展次第との判断を維持
イングランド銀行(BOE、英中銀)は19日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を7対2の賛成多数で現状の0.75%に据え置くことを決めた。また、資産買い取りスキームを通じた量的金融緩和策(QE)については、全員一致で現状維持を決めた。
前回11月会合に続き、2人のMPC委員が利下げを主張したため、市場では近い将来、景気指標が悪化すれば利下げに向かうとの見方が一段と強まった。一方、英国によるEU(欧州連合)からの離脱(ブレグジット)の先行き不透明感が払しょくされ、英国経済の成長率見通しが19年の1.2%増から21年に1.8%増に高まれば、20年、21年の大半で政策金利を据え置くとの見方もある。また、英国景気の回復の可能性が高いとして利下げよりも利上げが先に来るとの見方も根強い。
今回の会合後に公表された議事抄録によると、利下げを主張した2委員は「英国経済が予想よりもやや弱くなってきたことや、英国経済全体の余剰生産能力が高まってきている」と指摘した上で、「インフレ率を物価目標に向かって持続的に上昇させるため、世界経済の減速やブレグジットの先行き不透明感による景気下ブレリスクに対し、速やかに対応する必要がある」とした。
一方、会合後に発表された声明文では、BOEが賛成多数で現状維持を決めたことに関し、英国景気の先行き見通しが前回会合時よりも改善したことを指摘している。この点について、ブレグジットの先行き不透明感が薄れたうえ、世界経済がやや改善してきたとの認識を示し、「緊縮財政からの脱却により、英国経済の成長率は現在の潜在成長率を下回る状態から今後は上向く」と述べている。
インフレ見通しについても、「英国経済は需要の伸びが供給の伸びを上回り、需要過多とインフレ圧力の上昇により、予測期間の終了(22年)時点で、CPI(消費者物価指数)は2%上昇の物価目標をやや上回る水準に加速する」と楽観的な見方を示した。
BOEが前回会合時に公表した11月金融政策報告書によると、インフレ率は11月時点の1.5%上昇から20年4−6月期には1.2%上昇に鈍化するとしているが、第4四半期時点でみたCPI伸び率は19年が1.4%上昇、20年は1.5%上昇、21年は2.0%上昇と、物価目標と一致し、22年には2.2%上昇になると予想している。
今後の金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「(経済見通しのリスク要因として)今後のブレグジットの先行きや世界経済情勢を注視する必要がある」とした上で、「インフレ率を2.0%上昇の物価目標に持続的に戻すため、金融政策は英国の経済見通しがどうなるかによって(利下げか利上げか)どちらかに向かう可能性がある」とした。
11月金融政策報告書では、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ=翌日物無担保コールレートと固定金利を交換する金利)でみたBOEの第4四半期時点の政策金利見通しは、19年が0.7%、20年以降は22年まで0.5%になると予想している。これはEUと自由貿易協定を締結し、EU離脱が円滑に進み、英国経済が上向けば、BOEが今後3年以内に1回の利下げを実施することを意味する。
12月12日の英国総選挙で与党・保守党が単独過半数の議席を確保したことを受け、ジョンソン英首相は20日にも下院にEU離脱協定法案を提出し、議会通過を目指す。ただ、同法案では20年1月末の離脱後、EU離脱の激変緩和措置として20年12月末まで設けられた移行期間の延長を禁止する条項を新たに盛り込まれたことから、市場では合意なき離脱と同等の状況になる可能性が高まったと見ており、先行きは不透明なままだ。
BOEの次回会合は20年1月30日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




