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英保守党元党首が懸念するEUからの離脱無期限延期
2019-10-24 13:31:00.0
17日、ジョンソン英首相がEU(欧州連合)と合意した新離脱協定は、ジョンソン首相の譲歩案を基本にし、詳細を詰めたものだが、EUのブレグジット首席交渉官であるミシェル・バルニエ氏は17日の会見で、合意内容について、「4点で合意した」とした説明している。
4点とは、
(1)北アイルランドのすべての財にEU単一市場の規制(ルール)を適用、
北アイルランドからEUに入る財にはEUの関税が適用されるため、南北アイルランド間の国境で通関チェックが行われることを意味する。
(2)北アイルランドを英国の関税地域に残す
北アイルランドはEU以外の国との自由貿易協定の恩恵が受けられる。英国本国から、または英国経由で第3国から北アイルランドに入った財がEUに行かずに北アイルランドにとどまる場合には英国の関税が適用されるが、EUに入る可能性がある場合にはEUの関税が適用される。
(3)EUと英国のVAT(付加価値税)の税率を一致させるメカニズムで合意
北アイルランドにEUのVATが適用され、英国がEUに代わってVATを徴収する。
(4)北アイルランドの議会のコンセント(同意)について移行期間終了後に投票
アイルランドの統一を目指すナショナリストと英国との連合を目指すユニオニストで構成される議会が移行期間終了から4年後にEU市場から離脱するかどうか投票し、単純過半数の賛成で残るとなれば、その後7年間、また、反対されれば、2年間の激変緩和期間をおいて離脱す――というもの。
特に、バルニエ氏の会見で注目されたのは、北アイルランドの議会のコンセント問題に関し、「北アイルランドにこのアプローチのオーナーシップがある」とした点である。これは、北アイルランド議会が移行期間後に引き続きEU市場に残らないことを投票で決めた場合、その決定にアイルランド共和国は拒否権を行使できないということ、およびジョンソン首相の新提案に盛り込まれていた連立与党の北アイルランドの民主ユニオニスト党(DUP)の拒否権行使が事実上削除されたことだ。これに激怒したDUPは10月17日、即刻、ジョンソン首相のディールに反旗を翻している。
10月19日に予定された英下院採決の下馬評では、ジョンソン首相のディールは野党の反対多数で否決されるとみられていた。特に、DUPが反対に回ったことから、保守党内の離脱急進派の80人の議員から構成されるブレグジット欧州調査グループ(ERG)の去就が注目された。しかし、ERGの中核を構成する28人の代表となっているプリティ・パテル議員とジェイコブ・リースモッグ院内幹事長(前ERG代表)が内閣に加わっていることから、ジョンソン首相のディールを支持することが分かったほか、労働党の19人の議員が10月初め、EUに書簡を送り、ジョンソン首相とディールするように要請したことから少なくとも19人が賛成票を入れれば、ジョンソン首相のディール案が可決される可能性が出てくる。保守党の造反議員21人についても少なくとも17人が支持すると予想された。
ジョンソン首相が新提案をEUに提示してから、まだ日も浅いうちに、英国側から一方的に譲歩案を提出したことに対し、与党・保守党内から英国は譲歩しすぎとの批判が出た。
保守党のウィリアム・ヘイグ元党首は10月14日の英紙デイリー・テレグラフのコラムで、ジョンソン首相が一方的にEUに対し譲歩している理由について、「1つは自動車産業など製造業が合意なき離脱によって被る悪影響が大きいことを知っているからだ。もう1つは北アイルランドの和平が不安定になること。さらに政府は議会との関係で議会が最終的な切り札を握っていることを恐れているからだ」と指摘する。
また、ヘイグ氏は、ジョンソン首相が総選挙により形勢逆転を狙ってもリスクがあるという。「政府がEU離脱の延期を阻止することを検討すれば、議会はそれを阻止する動議を提出することができる。また、離脱日が20年1月まで延期され、離脱前に選挙が行われても、選挙でも負ければ、ジョンソン首相は議会をコントロールできなくなり、あらゆる法案が通ってしまう」という。
さらに、ヘイグ氏は、「ジョンソン首相が離脱日を遅らせることによって政権にとどまったとしても、さらなる期日延長が議会から要求される可能性がある。また、新しい国民投票の実施が選挙前に求められる可能性もある。もし、議会で3分の1の議員が反対すれば、解散総選挙も難しい。結局、英国はいつまでたってもEU離脱できず、無期限に離脱を延期することになる。または国民投票に向かうかで経済の先行き不透明感がますます強まる」と分析している。
提供:モーニングスター社




