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英下院、ジョンソン首相のEU離脱新協定法案の審議日程案を否決―10月末離脱は困難に
2019-10-23 13:56:00.0
英下院は22日夜の本会議で、ジョンソン英首相の新離脱協定法案に対する「意味ある投票」(政府合意案に対する議会の最終承認の投票)を実施し、329票対299票の30票差の賛成多数で可決し、10月末のディールによるEU(欧州連合)離脱をひとまず回避するための第一関門を突破した。これはバーコウ下院議長が新離脱協定の第2読会を受け、議会による投票のゴーサインを出したことでようやく新協定の批准に向け動き出したもの。一方、ジョンソン首相が同時に提出した、10月末までにすべての新協定関連法案を議会通過させるのに必要な審議日程案を決めた、いわゆるプログラム(議事日程)動議については、308票対322票の14票差の反対多数で否決された。
この結果、今後のEUとの協議結果にもよるが、離脱日が20年1月末か、それよりも長期になった場合、ジョンソン首相は解散総選挙の道を選択する見通しだ。総選挙の動議は下院議員の3分の2以上の賛成か、ワンライン動議(首相が選挙日を特定した法案を提出する1行だけの法案)だと単純過半数の賛成多数で可決される。仮に10月24日に解散総選挙が決まれば、25日後の11月28日が投票日となる。ただ、EUとの協議で、離脱日延期が1カ月程度の短期にとどまれば、ジョンソン首相は総選挙をせず、延期を受け入れるとみられている。
もともとのジョンソン首相の新提案というのは、10月末のEU離脱を大前提とし、EU離脱後の激変緩和措置としての移行期間が終わる21年1月以降、北アイルランド(英国領)が25年までの4年間、EUの単一市場として残り、農業と工業製品に関するEUの単一市場ルールが適用され、欧州司法裁判所(ECJ)の管轄下に入るというものだった。この案では北アイルランドと英国はともにEUの関税同盟から離脱するため、北アイルランドとアイルランド共和国との間には関税チェックが設けられる。ただ、大半の通関手続きは国境から遠く離れた出発地と到着地のオフィス内で行われる。もしEUがそれに応じない場合、南北アイルランドを往来する貿易製品に電子タグをつけ、通関手続きを電子化する。この案では、25年までは英国と北アイルランドの間に国境が設けられることになる。このため、新提案は“2つの国境提案”と呼ばれた。
また、25年とそれ以降は4年ごとに、北アイルランド議会がEU単一市場に残るか、英国ルールに戻るかを選択できる。英国とEUは移行期間中に自由貿易協議を行い、移行期間終了後、双方で結んだ自由貿易協定に移行することを目指す。英国は21年時点で独立した貿易政策を行使し、EU以外の世界各国と自由貿易協定を結ぶことができるようになる。移行期間の延長は求めないとした。
EUはジョンソン首相の新提案に対し、2つの大きな問題があると指摘した。1つは、グッドフライデー合意(98年4月に英国とアイルランド共和国との間で結ばれた、英国の北アイルランド6州の領有権主張を認める和平合意)を崩す恐れがあること。もう1つは北アイルランドとアイルランド共和国との間に関税チェックを設けることでEU単一市場を危うくするという問題だった。
ジョンソン首相がEU側に示した譲歩案は、北アイルランドだけが事実上、EU関税同盟に残り、英国がEUに代わって関税を徴収する仕組みに修正された。これにより、英国本国と北アイルランドの間に通関チェックの国境ができることになる。その代わり、北アイルランドは英国がEU以外の国と結ぶ自由貿易協定の恩恵が受けられるというものだった。
この譲歩案は、もともとはメイ前首相当時に政府内で浮上していた、北アイルランドを含む英国全体が関税パートナーシップ(NCP)に入るという案をダウンサイズ化し、北アイルランドだけに適用するもの。NCPでは北アイルランドがEU関税同盟の一部として残る(部分的な残留)ことを意味し、北アイルランドからEU行きの物資にEU関税をかけ、EU単一市場のルールや規制、スタンダード(基準)を適用する。ただ、貿易品が最終的には英国かあるいはEU市場に到達するかを見極める追跡技術が不可欠で、専門家はこの技術は23年までに完成しないとみている。
提供:モーニングスター社




