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パウエルFRB議長、ジャクソンホールで講演―金融政策の方向性示さずトランプ大統領が猛反発
2019-08-26 10:39:00.0
<チェックポイント>
●将来の利下げや年内利下げ回数など金融政策の方向性明確にせず
●トランプ大統領、「米国は強いドルの一方で、とても弱いFRBを持っている」と揶揄(やゆ)
●議長発言後、金利先物市場は9月の0.25ポイント利下げ確率をほぼ100%織り込む
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は23日、世界主要国の中銀総裁ら金融当局や大手金融機関のトップが参加する米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演を行ったが、次回9月17−18日FOMC(米連邦公開市場委員会)以降の利下げの可能性や利下げ継続の場合、年内にあと何回利下げするかなど具体的な金融政策の方向性を示さなかった。
講演直前の21日に公表された7月開催分FOMC議事録で将来の利下げの可能性や利下げ回数など明確な金融政策の方向性が示されなかったうえ、米中貿易摩擦が一段と激化し、世界経済の減速懸念が高まったことから、市場ではこの日のパウエル議長の発言に注目していた。また、議事録では2人の委員が0.50ポイントの大幅利下げを望んでいることが分かった一方で、別の2委員が現状維持を主張し利下げに反対したことを受け、市場ではFRBは9月以降、利下げしない可能性があるとの見方も出始めていた。
基調講演で、パウエル議長は、「米中貿易戦争の先行き不透明を受け世界経済の減速が一段と顕著になった」とし、その上で、「米経済の見通しに対するリスクが依然続いている」との認識を示した。特に、世界経済の減速に関する発言は、7月FOMC以降の新しい状況変化を指していることから、市場では9月FOMCでの追加利下げの可能性を示唆したとみる向きもある。
その一方で、同議長は、米経済は全体として堅調が続いており、インフレも物価目標に近づいているとの見方も示した。7月の利下げの大きな理由の1つが根強い低インフレだったことを考えると、この見解はややハト派的も現状維持を支持しているようにもみえる。こうした曖昧模糊とした議長発言を受け、トランプ大統領はツイッターで、「いつものようにFRBは何もしなかった。米国はとても強いドルを持っているが、その一方で、とても弱いFRBを持っている。FRBは私が(対中貿易摩擦に関し)近く発表することが何なのか尋ねもせず、また、知ろうともしないで、(議長は講演で)話ができるなんて信じられない」と述べ、利下げ継続を明確に示さなかったことに強い不満を表明した。さらにトランプ大統領は、「われわれの敵はだれなのか。パウエル議長なのか、それとも中国の習近平主席なのか」と追い打ちをかけた。
ジャクソンホール会議でのFRB幹部の発言は7月FOMCと同様、意見が相反するものとなった。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁とカンザスシティー連銀のジョージ総裁は現状維持の必要性を指摘したが、ダラス連銀のカプラン総裁とセントルイス連銀のブラード総裁は追加利下げを支持した。特に、ブラード総裁は会場内で行われた米経済通信社ブルームバーグのテレビインタビューで、「次回9月FOMCでFRBが0.50ポイントの利下げについて活発に話し合うと思う」と述べ、米中貿易摩擦の激化で世界経済が減速し、その影響が米経済にも及ぶ見通しを理由に大幅利下げの必要性を強調した。
政策金利の誘導目標であるFF(フェデラル・ファンド)金利先物を取引しているシカゴ・マーカンタイル取引所では、議長発言前は年内にあと1回の利下げ確率を95.8%、現状維持を4.2%としていたが、発言後は0.25ポイントの利下げ確率をほぼ100%織り込む格好となった。市場では年内に少なくとも2回の利下げを織り込み始めており、一部では9月FOMCで利下げがあると見ている。
<関連銘柄>
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提供:モーニングスター社




