youtube fund_beginer fund_search fund_look

金融・経済ニュース

英中銀、政策金利と量的金融緩和措置を据え置き―全員一致で

2019-08-02 10:59:00.0

<チェックポイント>
●合意なきEU離脱で「ポンド下落、インフレ上昇、経済鈍化」シナリオ浮上

●4−6月期GDP(国内総生産)見通しを前期比横ばいで据え置き

●市場予想、利下げに傾く―8月経済予測で合意なきEU離脱織り込む

 イングランド銀行(BOE、英中銀)は1日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を全員一致で現状の0.75%に据え置くことを決めた。市場の大方の予想通りだった。

 資産買い取りスキームを通じた量的金融緩和策(QE)についても全員一致で、国債の買い取り枠4350億ポンド、投資適格級の社債買い取り枠100億ポンドと、現状を維持した。

 BOEは声明文で、景気の現状認識について、「5月会合以降、貿易摩擦が強まり、世界経済が減速している。EU(欧州連合)からの合意なき離脱の可能性も高まり、国内金利(先物レート)が一段と押し下げられる一方で、通貨ポンドも顕著に下落した」、「7月中旬時点で、英国のEUとの将来の貿易関係を巡る先行き不透明感が増している」など、ブレグジットの先行き不透明感と世界経済の減速が景気下ブレリスクになっているとした。

 4−6月期GDP(国内総生産)伸び率の見通しについては、「1−3月期は前期比0.5%増だったが、4−6月期は前回5月予想時点をやや下回り、横ばい(ゼロ成長)になる。英国の経済成長は18年から潜在成長率を下回る伸びに減速してきている」と指摘した。

 景気見通しについては、「短期的にはブレグジットの先行き不透明感により成長が鈍化する」とし、中期見通しについては、「世界経済の回復が徐々に進み、ブレグジットの先行き不透明感が薄れ、投資が回復し国内需要は堅調な伸びとなりGDP成長が加速する」との見方を示している。

 BOEが今回の会合後に同時に発表した最新の8月四半期インフレ報告書をみると、19年(7−9月期時点)のGDP伸び率は前年比1%増(前回5月予想時点は1.2%増)、20年(同)も同1.4%増(同1.7%増)と下方修正したものの、21年(同)は同2.4%増(同2.1%増)と、上方修正された。また、経済予測期間の終了時点の22年(同)は2.5%増と、一段と加速すると予想している。

 インフレ見通しについては、「6月のCPI(消費者物価指数)は前年比2%上昇、コアCPIは同1.8%上昇となった」とした上で、「CPIで見たインフレ率は短期的には低下するが、超過需要が増すに伴い、インフレ上昇圧力が高まり、物価目標の2%上昇を超えて加速する。経済予測期間の終了時点でCPIは2.4%上昇となる」とした。四半期インフレ報告書では、19年(7−9月期時点)のCPIは1.7%上昇(前回予想時点は1.8%上昇)と予想しているが、20年(同)は1.9%上昇(同1.7%上昇)、21年(同)も2.2%上昇(同2.1%上昇)、22年(同)は2.4%上昇としている。

 ただ、BOEは目先の景気減速や景気下ブレリスクが強まっているにもかかわらず、年内利下げに金融政策を転換する姿勢をFRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)ほど明確には示していない。むしろ、BOEは声明文で、前回会合時と同様、利上げに固執し続けている。ブレグジットが円滑に進んだ場合や世界経済が回復した場合、景気が拡大し、インフレが加速する恐れがあり、そうなれば利上げが必要になるからだ。

 一方、BOEは今回の会合で初めて合意なき離脱シナリオについて言及した。会合後に公表された議事抄録で、「(反対に)合意なき離脱となれば、ポンドが急落し、(それにより輸入物価が上昇し)インフレが加速、経済成長は減速する可能性が高い」と述べている。BOE全体としてはまだ利下げを検討するところまで鮮明な姿勢を示していないが、一部の委員は合意なき離脱になれば利下げに賛成する考えを示し始めている。

 7月24日にボリス・ジョンソン氏が首相に就任したが、今後、下院が合意なき離脱を阻止するため、ジョンソン政権に対し内閣不信任案を提出すれば解散総選挙となり、政局が混乱し、ブレグジットの先行きが一段と不透明となった状態がEU離脱日の10月末まで続くことが予想される。

 市場ではEU離脱が円滑に進めば、BOEは20年下期(7−12月)まで現状維持を続けるが、10月末に合意なき離脱となれば景気支援のため、BOEは緊急利下げを行うとみている。

 BOEの次回会合は9月19日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社