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ECB、主要政策金利を現状維持―9月利下げや新たな量的緩和の可能性が浮上
2019-07-26 11:08:00.0
<チェックポイント>
●政策金利「引き下げ」も選択肢として明記
●「インフレ率が物価目標を延々と下回り続けている」と懸念示す
●ユーロ圏経済成長見通しに対するリスクは「下ブレ」―ドラギ総裁
欧州中央銀行(ECB)は25日の定例理事会で、市場の予想通り、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.4%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも据え置いた。
ただ、ECBは会合後に発表した声明文で、今後の金融政策について、「われわれはインフレが中期的に2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に持続的に収束していくことを確実にするため、少なくとも20年上期(1−6月)まで政策金利を現在の水準で維持するか、または引き下げる」とし、今回の会合で初めて「引き下げる」という選択肢を明記した。これはユーロ圏の景気を刺激し、インフレを物価目標に収束させる手段として利下げに言及したもので、ECBも今後、FRB(米連邦準備制度理事会)と同様、利下げサイクルに入ることを意味する。
会合後、市場では9月12日の次回理事会でECBは利下げに踏み切るとの見方が強まった。
ECBは今回の声明文で、新たに「インフレ率と期待インフレ率がいずれも物価目標を延々と下回り続けていることから、長期にわたって大幅な金融緩和スタンスを継続する必要がある」との文言や、「もしインフレ率が物価目標を下回り続ける場合には、ECBはインフレ率をシメントリック(上下が対称)な物価目標に収束させるため、断固とした行動を起こす」との文言を追加し、利下げを含む大幅な金融緩和措置を講じる考えを示した。また、ECBは、「このため、インフレが持続的に物価目標に向かって上昇していくよう、必要に応じて、あらゆる金融政策手段を講じる用意がいつでもできている」と早期の金融緩和を示唆している。
ECBが今後、採用する可能性がある金融政策手段については、超過準備預金がある銀行に義務付けられているECBに対する0.40%の金利支払いに例外を設けることで銀行の貸し出しを増やすこと狙った、ティアード(階層)方式の準備預金制度の導入や、新たな資産買い取り制度の導入、FRBのFOMC(米連邦公開市場委員会)のような政策金利のフォワードガイダンス(指針)を強化する方法などについて専門委員会に検討を委託したことを明らかにしている。
ドラギECB総裁は会合後の記者会見で、「インフレ率と期待インフレ率が低下している環境では、大幅金融緩和の継続が必要だ」と述べており、市場ではECBは9月会合で、利下げに加え、現在よりも一段と強化した量的金融緩和(QE)などの金融緩和策を打ち出すとみている。
ECBが金融緩和スタンスを一段と強める背景には、インフレ要因のほかにユーロ圏の景気悪化懸念がある。この点について、ドラギ総裁は会合後の会見で、「景気下ブレリスクが続いている」との認識を維持した。ECBは10日、ユーロ圏の20年の経済成長率見通しを前回5月予測時点の1.5%増から1.4%増に下方修正(19年の見通しは1.2%増に据え置き)したばかりだ。
すでに、ECBは景気刺激のための措置として、3月会合で過去に14年9月と16年3月に導入した「TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)」の第3弾(TLTRO3)を19年9月から21年3月末まで導入し、銀行による企業や家計への貸し出し拡大を目指すことも決めている。
TLTRO3によって、ECBは銀行に対し2月28日時点の適格貸出金残高の最大30%まで直接貸し付けることができる。貸付期間は2年間で、銀行は企業や家計への貸し出しを増やせば、ECBからの借り入れを増やせる仕組み。ドラギ総裁は今回の会合後の会見でも「TLTRO3制度により銀行貸出が拡大し中小企業を下支えする」との判断示している。
また、今回の会合では、今年3月、ECBは景気刺激策として、非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和を満期償還金の再投資だけで継続する方針を決めた。
次回の金融政策決定会合は9月12日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




