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金融・経済ニュース

英中銀、政策金利と量的金融緩和措置を据え置き―全員一致

2019-06-21 12:32:00.0

<チェックポイント>
●4−6月期GDP(国内総生産)を前期比0.2%増からゼロ成長に下方修正

●「EU離脱先行き不透明感が金利低下圧力高めボンド安を起こしている」と指摘

●10月合意なきEU離脱なら緊急利下げ―市場観測

 イングランド銀行(BOE、英中銀)は20日、金融政策委員会(MPC)の結果を発表し、政策金利を全員一致で現状の0.75%の水準を維持することを決めた。市場予想通りだった。英国のEU(欧州連合)離脱協議(ブレグジット)の先行き不透明感と世界経済の減速が景気下ブレリスクになっており、経済成長と雇用を支える必要があるとした。

 資産買い取りスキームを通じた量的金融緩和策(QE)についても全員一致で、国債の買い取り枠を4350億ポンド、投資適格級の社債買い取り枠を100億ポンドと、いずれも現状維持とした。

 BOEは会合後の声明文で、景気見通しについて、「前回5月会合以降、直近の経済データは概ね、5月経済予測と一致したが、景気下ブレリスクが高まった」とした上で、「景気下ブレリスクの外部要因は世界的な貿易摩擦の激化、国内要因は(メイ首相の辞任で)ノーディール(合意なきEU離脱)の可能性が高まったことだ」と指摘している。

 また、4−6月期GDP(国内総生産)伸び率の見通しを従来予想の前期比0.2%増から横ばい(ゼロ成長)に下方修正した。1−3月期GDP伸び率は前期比0.5%増と高い伸びとなったものの、4−6月期には経済成長が止まるとした根拠について、BOEは、「最初のEU離脱日(3月29日)を控え、英国とEUの企業が駆け込みで在庫投資を急増させたため、1−3月期は高い伸びとなった。しかし、その後、離脱日は2度延長され10月末になったため、4−6月期にはそうした急激な在庫投資によるGDP押し上げ要因がはく落する。また、EU離脱の悪影響を避けるため、自動車の生産が4月に急激に減少したことがある」と説明している。

 インフレ見通しについては、「5月のインフレ率は物価目標と同じ2%上昇となったが、年内には2%上昇の物価目標を下回る可能性が高い」とディスインフレ(物価上昇率の鈍化)懸念を示した。

 BOEは18年11月会合で、EUとの協議がノーディールに終わった場合、「英国はEU市場へのアクセスが失われ、金融環境が一段とタイトになり、需要も急速に低下する」と指摘し、景気を刺激するため、利下げが必要になるとの見方も示していた。今回の会合でも、前回同様、「金融政策の適切な道筋はブレグジット協議の結果が需要と供給、為替相場に及ぼす影響(上ブレ、または下ブレのいずれかの方向)によって変わってくる。ブレグジットの結果がどうであれ、金融政策は自動的に決まるものではなく、(引き締めか緩和か)どちらかの方向に向かう可能性がある」と述べている。

 BOEは金融政策を一方向に決められない事情がある。現在、メイ首相を継ぐ次期首相を決める保守党の党首選挙が進められており、ノーディール離脱も辞さないEU離脱強硬派のジョンソン元外相が圧倒的な支持を集めている。7月23日にはジョンソン氏が首相に就任する見通しが濃厚だが、下院がジョンソン政権に対し内閣不信任案を提出し可決する可能性がある。そうなれば解散総選挙となり、政局が混迷し、ブレグジットの先行きが一段と不透明になる状態が離脱日の10月末まで続くことが予想される。

 BOEはEU離脱をめぐる先行き不透明感が払しょくされない間は金融政策を据え置く可能性が高いとみられる。ただ、現在の0.75%という金利水準は09年2月(1.00%)以来10年ぶりの高水準とはいえ、依然、超低水準に変わりはない。このため、BOEとしては金融政策の余地を残すためにも追加利上げが必要という事情もあり、「経済予測期間中の継続的な金融引き締めは適切」との文言を残し、追加利上げの可能性に含みを持たせている。

 市場では、10月末にノーディールとなれば景気支援のため緊急利下げを行うとみている。また、EUと自由貿易協定を締結し、円滑な離脱が進み、英国経済が上向けば、BOEは21年末までに3回の利上げを実施し、政策金利を1.50%にまで引き上げるとの見方がある。

 BOEの次回会合は8月1日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社