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ECB、主要政策金利を据え置き―少なくとも20年上期まで現状維持
2019-06-07 10:45:00.0
<チェックポイント>
●将来の利下げや量的金融緩和(QE)再開を視野にハト派色強める
●TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)第3弾でマイナス金利の貸し付け可能に
●20年と21年のユーロ圏成長率見通しを下方修正
欧州中央銀行(ECB)は6日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも据え置いた。市場予想通りだった。
ECBは会合後に発表した声明文で、今後の金融政策について、「ECBはインフレが中期的に2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に持続的に収束していくことを確実にするため、少なくとも20年上期(1−6月)まで政策金利を現在の水準で維持する」とし、景気後退に配慮するため、超低金利政策を一段と長期化させる考えを示した。前回4月会合では「少なくとも19年末まで維持する」としていた。これはFRB(米連邦準備制度理事会)と同様、ECBも金融政策の正常化を目指した利上げ開始を遅らせることを意味する。
市場の大方は現状維持を予想していた。しかし、ECBが今回の会合で現状維持の期間を20年上期にまで延ばしたことを受け、ECBは将来の利下げや量的金融緩和(QE)の再開を視野に入れたとみている。ドラギECB総裁の任期が19年10月末となっているため、次期新総裁の手を縛らないよう配慮したとみられる。また、QEによる資産買い取り規模が2.6兆ユーロに達していることなどから、利下げやQE再開をできるだけ長く温存したい考えがある。
このため、市場ではECBは20年末まで現状維持を続け、利上げは21年からになると予想していた。
ECBが金融緩和スタンスを一段と強めた背景には、ユーロ圏の景気悪化懸念がある。この点について、ドラギ総裁は会合後の会見で、景気見通しについて、前回会合時とほぼ同様、「ユーロ圏経済の成長見通しに対するリスクは(英EU離脱など)地政学的要因の先行き不透明や貿易保護主義の悪影響の高まり、新興市場国のぜい弱性などが景況感に強い悪影響を及ぼしている」と述べ、「景気下ブレリスクが続いている」との認識を示した。
ただ、同総裁は、「ユーロ圏経済は緩やかな財政支出の拡大や雇用と賃金の伸びが加速することで引き続き拡大していく」との見方を示した上で、19年のユーロ圏成長率見通しを1.1%増から1.2%増に上方修正した。一方、20年の成長率見通しは3月予想時の1.6%増から1.4%増に、21年も1.5%増から1.4%増に、それぞれ下方修正した。
また、ドラギ総裁は、「複数の理事が将来の利下げとQEを再開させる可能性が高まったと指摘した」ことも明かしている。
インフレ見通しについては、「ユーロ圏のインフレ率は5月の全体指数が前年比1.2%上昇と、4月の同1.7%上昇から鈍化した」としたが、「中期的にはコアインフレ率は金融政策の効果や景気拡大の持続、強い賃金の伸びにより、上昇していく」と指摘。この日発表された最新の6月予測ではインフレ率は19年が1.3%上昇(前回3月予想は1.2%上昇)、20年は1.4%上昇(同1.5%上昇)、21年は1.6%上昇となっており、いずれも物価目標を下回ったままだ。
また、3月会合で過去に14年9月と16年3月に導入した「TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)」の第3弾(TLTRO3)を19年9月から21年3月末まで導入し、銀行による企業や家計への貸し出し拡大を目指すことも決めたが、今回の会合でTLTRO3の実施要項について協議。ユーロ圏内の銀行に対し、リファイナンス金利の平均より0.10ポイント高い貸出金利を原則適用することを決めた。
また、19年3月、ECBは景気刺激策として、非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和を満期償還金の再投資だけで継続する方針を決めたが、今回の会合でもこの方針を維持した。
次回の金融政策決定会合は7月25日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




