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金融・経済ニュース

EUや英官僚機構が望む「離脱撤回」と相容れないメイ英首相

2019-04-10 12:29:00.0

 英与党・保守党のメイ首相が最大野党・労働党との妥協案の策定を目指すことは、英国が労働党の主張を受け入れ、離脱後もEU(欧州連合)の関税同盟や単一市場に残るというソフトブレグジット(穏健離脱)のディール(合意)になることを意味する。メイ首相の決断に対し、保守党の100人近い陣傘議員からなるブレグジット欧州調査グループ(ERG)のジェイコブ・リースモッグ代表やボリス・ジョンソン元外相らハードブレグジット(EU市場への自由なアクセスの大半を失う強硬離脱派)の保守党議員は、ソフトブレグジットでは恒久的にEUの支配下に入り、英国は主権を取り戻せなくなると一斉に反発している。

 閣内でも離脱支持派のクリス・ヒートン・ハリス離脱省政務次官が4月3日の首相のテレビ演説を受けて直ちに辞任を発表。続いて、ナイジェル・アダムス閣外相(ウェールズ担当)も辞任した。

 こうした強硬離脱派の反発を考えると、メイ首相が4月10日のEU臨時サミット(加盟27カ国の首脳会議)で離脱日の再々延長を要請し、ソフトブレグジットのディールを目指してEUとの再協議に入っても、議会の最終承認(意味ある投票)を受ける段階で強硬離脱派の抵抗が予想され、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)となる可能性があり、先行きは依然不透明だ。

 EUが3月21日のEUサミットで英国の離脱日延長問題の解決策として、プランB(首相の離脱協定案が英下院の意味ある投票で否決された場合、4月12日を新しい離脱日とするシナリオ)を盛り込んだのは、最初からメイ首相の離脱協定案が下院で3度目の否決に終わるとの読みがあったからだ。

 メイ首相も最初から3回目の投票が不調に終わると想定していたとみられ、議会に対し、自分の案に賛成しなければEU離脱が長期化し、ついにはノーブレグジット(離脱撤回)に終わると脅し、議会から支持を得ようと賭けに出た。

 ただ、EU離脱が長期離脱シナリオに向かった場合、EU離脱日の再々延長は5月23−26日の欧州議会選挙を跨ぎ、英国の欧州議会選挙への参加が延長の絶対条件となる。

 メイ首相は3月21日の記者会見で、「3年前、国民投票でEU離脱を決めたのに、今度の欧州議会選挙に英国が参加すると国民に伝えることは間違いだ」と主張。また、同20日の下院答弁でも「長期延長の事態になれば国民投票の結果を裏切ることになる」として辞任を示唆しており、すでに危機的状況にある政界がさらに混乱する新たな火種となるのは必至だ。

 一方、EUがプランBを追加した裏には、ノーディール・ブレグジットを避ける狙いがある。突き詰めれば、英国から離脱撤回を引き出したいのがEUの本音だ。

 3月18日付の英紙デイリー・テレグラフでも、「英国の官僚機構はほぼ100%EU残留、つまり、ノーブレグジットの実現を目指している」と報じている。

提供:モーニングスター社