金融・経済ニュース
EUからの合意なき離脱を回避できるのか―極まるメイ英首相の迷走
2019-04-09 13:52:00.0
EU(欧州連合)は3月21日に開かれたサミット(加盟27カ国の首脳会議)で、英国のEU離脱日を条件付きで従来の3月29日から4月12日、または5月22日に延長するという2つのシナリオを承認した。
メイ英首相のEU離脱協定案とEUとの将来の関係(自由貿易協定)の大枠を示す政治宣言案が下院の3度目の「意味ある投票」(首相案に対する議会の最終承認の投票)で可決された場合は5月22日、否決された場合は4月12日を離脱日とするいわゆるプランBだ。
メイ首相の離脱協定案に対する3度目の意味ある投票は当初、3月26日に行われるとみられていたが、メイ政権を支える連立与党の北アイルランドの民主ユニオニスト党(DUP)が25日になって反対する意向を伝えたことを受け、メイ首相は25日の下院本会議で事実上、投票を延期した。投票が行われないとなれば、離脱協定案に対する可否が明確にならず、新しい離脱日が決まらなくなる。
ただ、メイ首相は是が非でも合意なき離脱を回避するため、EUとの約束通り、離脱協定案を議会で採決し、可決か否決の白黒をつけることを決断。首相の離脱協定案を構成する2つの部分、つまり離脱協定本体と、法的拘束力のないEUとの自由貿易協定締結など将来の関係の枠組みを規定した共同政治宣言とを切り離し、離脱協定本体だけを3月29日の投票では286票対344票と、58票差の反対多数で否決され、新しい離脱日は4月12日といったん決まった。
メイ首相は離脱協定本体の否決後直ちに、ジョン・バーコウ下院議長に発言の機会を求め、「議会はノーディール(合意なき離脱)もノーブレグジット(離脱撤回)も、ディールも拒否した。議会の考えることには限界に達した」と述べると、英国メディアはメイ首相が数週間以内に解散総選挙に突入することを示唆したと一斉に報じた。
メイ首相はさらに迷走し、4月10日のEU臨時サミット(加盟27カ国首脳会議)で離脱日を6月末まで再々延長するため、2日にテレビ演説を行った。首相の離脱協定案を再度、議会通過させるため、最大野党・労働党と手を組み妥協案を探ると主張。ただ、労働党との協議が失敗に終われば、次善の策として、議会に3回目の示唆的投票(Indicative Votes)のチャンスを与え、過半数の支持を集めた選択肢(EUとの将来関係に関する選択肢)を政府が丸呑みするとした。
EUとの将来の関係を規定した政治宣言は離脱協定本体とセットになっており、離脱協定本体がベースとなっている。議会の3回目の示唆的投票で、EUとの将来の関係に対する選択肢が過半数の支持を集め、政府案に盛り込まれた場合、3回目の意味ある投票で議会はこれまで2回否決した離脱協定案を承認しなければならなくなる。議会に政治宣言の内容を修正させることで、離脱協定案も最終的に可決させるというメイ首相の駆け引きがみえてくる。
提供:モーニングスター社




