youtube fund_beginer fund_search fund_look

金融・経済ニュース

ECB、主要政策金利を現状維持―年内利上げを断念

2019-03-08 12:03:00.0

<チェックポイント>
●景気対策として9月から貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO3)を導入

●政策金利を少なくとも「19年末まで据え置く」方針に変更

●インフレ見通し、経済成長見通しを下方修正

 欧州中央銀行(ECB)は7日の定例理事会で、市場の予想通り、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも据え置いた。

 ECBは会合後に発表した声明文で、今後の金融政策の見通しについて、「われわれはインフレが中期的に2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に持続的に収束していくことを確実にするため、少なくとも19年末まで政策金利を現在の水準で維持する」とし、前回1月会合時の「19年夏まで政策金利を据え置く」との文言を修正。政策金利の現状維持を長期化させる方針を示し、年内の利上げを断念した。

 ドラギECB総裁は会合後の会見で、「今回の政策決定はインフレ率が物価目標の2%弱に向かって持続的に加速することを確実にするためだ」とした。また、ユーロ圏の18年10−12月期GDP(国内総生産)が前期比0.2%増と、前期の同0.1%増を上回ったものの、景気見通しについては、「最近の経済指標をみると、ユーロ圏の景気拡大ペースがかなり鈍化している。これは今年も続く見通しだ」と前回会合に続いて景気下ブレ懸念を示した。

 景気先行き懸念を受け、ECBは今回の会合で景気テコ入れ策として、14年9月と16年3月に導入した「TLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)」の第3弾(TLTRO3)を19年9月から21年3月まで導入し、銀行による企業や家計への貸し出し拡大を目指すことも決めた。貸し出しが条件となっているため、銀行は企業や家計への貸し出しを増やせば、ECBからの借り入れを増やせる仕組みだ。

 ユーロ圏の景気見通しの悪化、特にイタリアの景気悪化懸念が顕著なため、イタリアの銀行は貸出資金の調達が必要になっている。TLTRO3は申請すれば、企業や家計への貸し出しが強制されるため、イタリア以外の加盟国の銀行は、流動性は潤沢に保有しているとして、TLTRO3の必要性には否定的だ。

 前回1月会合で、ECBは景気刺激策として、非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和(QE)を満期償還金の再投資だけで継続する方針を決めたが、今回の会合でもこの方針は維持された。

 今回のTLTRO3の導入とAPP継続は、インフレ調整が予想通り持続的に進まない事態に備えたものだが、もう一つの理由として、最近のトランプ米大統領の保護貿易主義政策による世界的な貿易摩擦の激化で、ユーロ圏経済の成長鈍化リスクが高まっていることがある。ドラギ総裁は会見で、「貿易保護主義の脅威や新興国市場(特に中国)の脆弱(ぜいじゃく)性などの地政学的要因が続いている。ユーロ圏の弱い景気動向がインフレを物価目標に近づける調整を遅らせている」と指摘した。

 ECBは今回の会合で最新のユーロ圏経済の成長率見通しを発表した。それによると、19年は1.1%増と、前回予想時の1.7%増から大幅に下方修正した。20年も1.6%増(前回予想時は1.7%増)に下方修正したが、21年は1.5%増(前回予想時と変わらず)に据え置いた。一部のエコノミストはユーロ圏経済がリセッション(景気後退)に入るリスクが高まっているとみるが、ドラギ総裁は今回の会見でも、「ユーロ圏経済は好ましい金融環境とさらなる雇用の拡大、賃金の上昇、エネルギー価格の低下、さらには、やや鈍化しているものの、世界経済の拡大によって、成長が下支えられる」とリセッションの見方を否定している。

 また、ECBの最新の経済予測で、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)でみたインフレ見通しについて、19年は1.2%上昇(前回12月予想時は1.6%上昇)と、大幅に引き下げた。20年も1.5%上昇(同1.7%上昇)、21年も1.6%上昇(同1.8%上昇)と、いずれも引き下げている。

 次回の金融政策決定会合は4月10日に開かれる予定。

提供:モーニングスター社