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ECB、政策金利現状維持と量的緩和年内打ち切りを決定
2018-12-14 10:32:00.0
<チェックポイント>
●償還分の再投資は維持
●政策金利は少なくとも19年夏の終わりまで据え置く方針を維持
●ユーロ圏経済見通しに対するリスクは下ブレに向かっている―ドラギ総裁
ECB(欧州中央銀行)は13日の定例理事会で、市場の予想通り、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも現状のまま据え置いた。
ECBは理事会後に発表した声明文で、前回10月会合時と同様、「ECBはインフレが中期的に2%上昇をやや下回る水準(物価目標)に持続的に収束していくことを確実にするため、少なくとも19年夏の終わりまで政策金利を現在の水準で維持する」とし、来夏までの政策金利を据え置く方針を改めて強調した。
また、非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和(QE)については、ECBは10月から純買い入れ額(償還される債券の金額を差し引いたもの)を月150億ユーロに減額しているが、「12月末に終了する」と明示した。これは12月末で純買い入れ額をゼロにする、つまり、期落ちした債券の償還金だけを再投資しECBが保有する債券残高(純買い入れ額の累計額)を12月末時点の水準で維持し、これ以上増やさないことを意味する。
APPの事実上の終了の背景には、ユーロ圏がインフレ率も11月は2%上昇と、予測通り、物価目標(2%上昇弱)に向かって加速してきたことがある。また、ECBの支配的な存在である経済大国ドイツがQEによって人為的に長期金利が引き下げられることにより、イタリアなど重債務国への財政健全化圧力が弱められていると批判を強めていることもある。
今回の会合で、ECBはAPPの12月末終了を示したとはいえ、「利上げを開始したあとも、もし必要があれば、流動性の潤沢供給や適切な金融政策を維持するため、われわれはAPPによる債券買い入れを長期にわたって継続する」という、景気悪化など緊急時のQE継続の可能性を示す文言を残している。
APPの長期存続の可能性を残したのは、インフレ調整が予想通り持続的に進まない事態に備えたものだが、別の理由として、トランプ米大統領の保護貿易主義政策による世界的な貿易摩擦の激化で、ユーロ圏経済の成長鈍化リスクが高まっていることがある。ユーロ圏経済が後退すれば持続安定的に物価目標を達成することが困難になる恐れがあるからだ。
ドラギECB総裁は理事会後の会見で、「ユーロ圏経済の成長見通しに対する上ブレ・下ブレの両リスクはおおむね均衡しているが、貿易保護主義や新興国市場の脆弱性、金融市場の急激な変動、地政学要因の先行きが不透明なため、リスクバランスは下ブレに向かっている」と今回の会合で初めて景気下ブレ懸念を示した。
今回の会合で公表した18年と19年のユーロ圏経済の成長率見通しでは18年は1.9%増、19年は1.7%増と、前回9月予想時点のそれぞれ2.0%増と1.8%増からやや下方修正された。ただ、ドラギ総裁は、「最近の経済指標は予想を下回る弱いものとなっているが、内需は依然強くユーロ圏経済を拡大させインフレ圧力を徐々に高めている。インフレはAPP終了後も物価目標に収束し続ける」と景気の先行きに自信を見せる。
インフレの見通しについて、ドラギ総裁は、「11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は食品やエネルギーの物価下落で10月の2.2%上昇から2%上昇に減速した。今後数カ月は原油先物価格が現状で推移すればHICPの全体指数は減速する可能性が高い」とした。
一方、コアインフレ率の見通しについては、「企業の高水準の設備稼働率やタイトな雇用市場などのコスト要因が強まる中、今後、ECBの金融政策やユーロ圏経済の拡大、賃金の上昇によって年末に向けて上昇し、中期的には伸びが一段と加速する」と楽観的な見方を示している。
ECBが今回の会合で公表したインフレ予想では18年が1.8%上昇(前回予想時は1.7%上昇)、19年は1.6%上昇(同1.7%上昇)となっている。
次回の金融政策決定会合は19年1月24日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




