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英EU離脱協議、6−8週間で最終合意という見通しの危うさ
2018-10-17 17:54:00.0
EU(欧州連合)は非公式会合を9月19−20日に開き、英国のチェッカーズ合意(離脱方針白書)をベースにしたEU離脱提案を拒否し、10月までに代替案を提示するよう要求した。英国メディアは20日、「メイ英首相はEUのアンブッシュ(不意を突く奇襲攻撃)で恥をかく」の見出しで、チェッカーズ合意がEU側に拒否されたと一斉に報じた。
EUのブレグジット首席交渉官であるミシェル・バルニエ氏はサミット開催中の19日に声明文を出し、EU離脱後も北アイルランドにEUルールを合致させることでハードボーダーを避けるという解決方法(バックストップオプション条項)を譲らず、北アイルランドがEU関税同盟に残ることを前提に、ハードボーダー回避の方法として、「英国内から北アイルランドに入る物資の関税チェックをする必要があるが、その場合、国境ではなく、企業の敷地内か市場内で行う」と提案。
また、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長(EU大統領、ポーランド元首相)もEUサミット後の会見で、「英国は北アイルランド国境問題に関する離脱案(チェッカーズ合意)を書き直し、再協議する必要がある」(19日)、さらには「チェッカーズ合意提案は機能しない」(20日)と述べ、拒否した。
これを受けて、16年の保守党の党首選挙でメイ首相の誕生に尽力したマイク・ペニング議員も「これでチェッカーズ合意は死んだ」(19日付テレグラフ紙)と評し、英国のEU離脱後の将来を見据え、メイ首相の政敵である超強硬離脱派のブレグジット欧州調査グループ(ERG)に加わったほどだ。
トゥスク欧州理事会議長は19日の会見で、北アイルランド国境問題で英国との協議を継続するため、英国に10月中の代替案提示を要求し、最終合意を11月中旬まで延期する意向を示した。しかし、メイ首相はEUサミットで、「離脱日の延長や2回目の国民投票による協議の長期化という選択肢はない」(20日付タイムズ紙)と断言し、英政府も「チェッカーズ合意は機能し信頼できるものだ」(20日付BBC)と応酬、チェッカーズ合意を修正しない考えを示している。
EUサミット終了後、帰国したメイ首相は21日、直ちに首相官邸でテレビ演説し、EUから離脱後の英国との経済関係について、(1)EU単一市場への自由なアクセスを可能にするEEA(欧州経済領域)協定を結ぶ、(2)北アイルランドをEU関税同盟に残し、英国本国とEUは通常の自由貿易協定を結ぶ―という2つの選択肢が提案されたと暴露。
その上で、「最初の選択肢ではEUルールが適用され、人の移動の自由を押し付けられ、英国はEU以外の他国と自由貿易協定を結ぶことができなくなる。これは2年前の国民投票の結果を台無しにする。後者は北アイルランドが英国と不可分であることを尊重しないものだ」といずれも否定し反撃の狼煙を上げた。
さらに、「国民投票の結果を尊重せず、国を分断するようなEUの提案はバッドディールだ。バッドディールよりもノーディールの方がまだいい」とまで言い切った。その一方で、「EUからまともな提案が示されるのを待っている」とも述べ、協議継続の余地は残した。これには超強硬離脱派のERGのジェイコブ・リースモッグ代表もサミットでEUを相手に一歩も譲らなかったメイ首相に対し、「鉄の意志を示した」(21日付ガーディアン)と最大の賛辞を送っている。
今後、チェッカーズ合意に代わって、EUとの貿易協定はERGが主張するカナダ方式をベースにした、「カナダ・プラス方式」が有力になる可能性がある。この方式では北アイルランド国境でトラック輸送の積荷をバーコードでチェックして検査なしに短時間で通関させるマキシム・ファシリテーション案(ITを駆使して国境検査や関税手続きを最大限簡素化する案)を採用するが、EUサミット前から17日付デイリーメール紙は、「バルニエ氏は(マキシム・ファシリテーション案のような)IT技術を使った方式を検討しており、12月末までに最終合意を目指す」と報じている。
しかし、メイ首相は21日のテレビ演説で、カナダ方式などの貿易協定は北アイルランドがEU関税同盟に残ったあと、英国本国とだけ協定を結ぶことを意味し、「これはだれが英国の首相になっても容認できないものだ」と述べており、実現性には疑問が残る。
提供:モーニングスター社




