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金融・経済ニュース

英EU離脱協議、バルニエEU首席交渉官が英離脱方針白書を拒否

2018-09-06 11:01:00.0

 メイ英首相は7月中旬、英EU(欧州連合)離脱協議で貿易問題を中心とした第2段階協議に臨む英国の考え方をまとめた交渉ガイドラインともいうべき離脱方針白書を、EU側に提示した。ただ、EU首席交渉官のミシェル・バルニエ氏がこれを拒否。協議は強硬離脱となるノーディールに終わる公算が大きくなった。

 英有力紙ガーディアンは7月26日付電子版で、「バルニエ氏は英国による関税の代理徴収が主権侵害と主張している」と報じた。地元メディアも「バルニエ氏はメイ首相の関税案を握りつぶした」と一斉に報じ、ノーディールの可能性が高まったとの論調を強めている。英紙デイリー・テレグラフも同日付で、「バルニエ氏は離脱方針白書に対し全く譲歩の姿勢を見せず、EU関税同盟に残るよう警告した」とし、英国はノーディールかEU関税同盟に引き続き残るしか選択肢がなくなった、と伝えた。

 白書の中でバルニエ氏が特に問題視しているのが、関税円滑化協定(FAC)と呼ばれるものだ。英国はEFTA(EU非加盟国のノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイスの4カ国で構成される欧州自由貿易連合)がEUと結んでいるEEA(欧州経済領域)のようなFTA(自由貿易地域)を設定することを提案しており、関税検査や関税手続き管理などを省くことができるという考え。

 FACでは、英国を仕向け地とした製品等には英国が独自の関税や貿易政策を適用する一方で、EUが仕向け地のものにはEUが独自の関税や貿易政策を適用することが認められる。しかし、世界規模のサプライチェーンを持つ多国籍企業の場合、欧州以外の国から英国を経由して最終的にEUに向かうものには英国がEU関税を適用してEUに代わって徴収し、一方のEUから英国に入ってくるものにはEU規格・規制をこれまで通り適用する。EUから英国に入ってくるものも英国からEUに出ていくものもEUルールに合致させるので、離脱後もこれまで通り円滑な取引が期待できる。ただ、バルニエ氏は「関税の徴収を非加盟国に委任することはできない」と指摘している。

 バルニエ氏の強硬姿勢に対し、メイ政権の主要閣僚もいら立ちを募らせ始めた。ドミニク・ラーブ離脱担当相は7月21日付のサンデー・テレグラフ紙のインタビューで、「EUと貿易協定で合意できない場合、390億ポンド(約5.6兆円)の離脱清算金は支払わない」と発言し、EUとの関係は悪化する一方だ。ジェレミー・ハント外相も7月31日付テレグラフ紙で、「ノーディールに終わる可能性が高いが、もしEUが英国は屈服すると考えているとすれば大きな間違いだ」と一蹴。その一方で、メイ首相はバルニエ氏相手ではらちが明かないとみて、閣外大臣(閣議に参加しない大臣)をオーストリアやイタリア、フランスなどをEU加盟国に派遣し、英国の離脱方針白書に理解を求める外交戦術に入った。

 こうしたメイ首相の弱腰外交に対し、デイリー・テレグラフ紙は8月3日付の社説で、「政府の離脱交渉の進め方には根本的な欠陥がある。白書に代わるプランBがなく、ノーディールがプランBになりかねない。メイ首相から白書への理解を求められたマルコン仏大統領は自分が話している相手は交渉人なのか、物乞いなのか判別ができなかったに違いない」と、メイ首相の弱腰外交を辛らつに批判した。

提供:モーニングスター社