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ECB、主要政策金利を維持―19年夏の終わりまで据え置く方針を改めて強調
2018-07-27 10:34:00.0
<チェックポイント>
●10月から月額150億ユーロに減額、12月末に買い入れ終了方針も維持
●インフレの持続的調整が進んだとの判断を維持
●米国の保護貿易主義政策による世界的な貿易摩擦の激化を警戒
ECB(欧州中央銀行)は26日の定例理事会で、市場の予想通り、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも現状維持とした。
理事会後に発表した声明文で、前回6月会合時と同様、「インフレの調整(物価目標に向かって上昇していくこと)が予想通り持続的に進むことを確実にするため、少なくとも19年夏の終わりまで政策金利を現在の水準で維持する」と改めて強調した。また、ECBは今回の会合でも、「もし必要があれば、来夏以降も据え置く」との文言を使っており、利上げへの政策転換が先延ばしになる可能性も示した。市場では「夏の終わり」が7−9月期を指すのか、または、9月以降なのかをめぐって意見が分かれており、ドラギECB総裁も会合後の会見ではこの点について明らかにしなかった。
また、ECBは非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和(QE)のテーパーリング(段階的縮小)については、10月から買い入れ額を現在の月300億ユーロから月150億ユーロに半減し、12月末に純買い入れ額(償還される債券の再投資額を差し引いたもの)をゼロにし、APPを終了する方針も据え置いた。18年末にAPPを終了したとしても、ECBは利上げを十分な期間を置いてから開始したいと考えており、市場は最初の利上げが19年後半になるとみている。
ただ、今回の声明文でも、「純買い入れ額がゼロになったあと、もし必要があれば、流動性の潤沢供給や適切な金融政策を維持するため、ECBはAPPによる債券買い入れを長期にわたって継続する」との文言を残した。基調的インフレ率(消費者物価指数の構成要素に経済指標や金融市場関連指標を加えて算出したもの)は経済の拡大に伴って中期的には徐々に加速していくと楽観的に見ているものの、インフレ調整が予想通り持続的に進まない事態に備えたものだ。
この文言を残したもう一つの理由には、最近、トランプ米大統領の保護貿易主義政策による世界的な貿易摩擦の激化で、ユーロ圏経済の成長鈍化リスクが高まっていることがある。ユーロ圏経済が後退すればインフレ率が持続安定的に物価目標を達成することが困難になる恐れがあるからだ。
ドラギ総裁は9日の欧州議会でも、「新たな貿易障壁は欧州経済にとって大きなリスクとなる」と指摘した。また、24日に発表された7月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数)は6月の54.9から54.3に低下し20カ月ぶりの低水準となっており、ユーロ圏経済が貿易摩擦の激化による輸出への悪影響が予想される中、どこまで内需が経済を支えられるかが今後の問題となってきている。
最近のインフレ動向をみると、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)でみたインフレ率の全体指数は、6月は原油高を反映して前年比2.0%上昇と、5月の同1.9%上昇や4月の同1.2%上昇から伸びが加速した。ただ、値動きの激しい食品やエネルギーを除いたコアインフレ率は同1%上昇と、5月の同1.1%上昇から減速し、依然緩やかなままだ。
このため、ドラギ総裁は会合後の会見で、「ユーロ圏経済は堅調な伸びを示しているものの、まだ、かなりの景気刺激策を必要だ」と述べ、物価目標の持続的達成へのリスクが残っていると警戒感を示している。
次回の金融政策決定会合は9月13日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




