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イタリア新政府、ユーロ圏離脱に向かう可能性―英保守党元党首の見解
2018-05-28 13:40:00.0
5月18日、3月4日のイタリア総選挙から2カ月半に及んだ新政権樹立の連立協議がようやく終了し、欧州議会でUKIP(英国独立党)と連携したことがある左派のポピュリズム(大衆迎合主義)政党の五つ星運動と右派で反移民のEU(欧州連合)懐疑派のリーガ(同盟、旧・北部同盟)が連立政権の樹立で合意した。ドイツやフランスに続いてユーロ圏(加盟19カ国)3位の経済大国イタリアで反EU・反移民の連立政権が誕生したことの衝撃は大きい。EUにとってEU離脱協議を進めている英国に続いて、イタリアが単一市場と統一通貨ユーロへの新た脅威として浮上してきたからだ。
メイ英首相が率いる与党・保守党のウィリアム・ヘイグ元党首(97−01年)は5月21日、英紙デイリー・テレグラフに寄せた寄稿文で、「イタリア新政府はユーロ圏からの出口を模索し始める可能性が高い。すぐには始まらないにせよ、EUとの対立が激化し離脱の方向に向かう。(その意味で)EUにとってイタリアの連立政権はブレグジット(英国のEU離脱)より脅威になる」と警告している。これは英国が特例的に「ユーロ」の採用を免れているが、イタリアはユーロ圏の中軸であり、ユーロ圏離脱は単なるEU離脱とは重みが違うからだ。
イタリアがユーロ圏を離脱する理由として、ヘイグ氏は、(1)五つ星運動とリーガはいずれもユーロ圏にとどまることに強く反対し、数十万人の移民の追放を約束している、(2)イタリアは重債務国だが、大幅減税と大型財政支出を同時に進める経済政策を打ち出している――という2点を挙げている。
具体的には、所得税の税率引き下げとユニバーサルインカム(政府による現金支給制度)の導入、退職年金支給開始年齢の引き下げを挙げ、その上で、「イタリアがユーロ圏にとどまる限り、安定・成長協定の財政赤字ルール(毎年の財政赤字をユーロ加盟基準の対GDP比3%未満とする)に縛られ大型減税・財政支出政策を実現する資金調達ができないという現実がある。したがって、両党はユーロ圏からの離脱を目指す」との見方を示す。
また、イタリアがユーロ圏を離脱しなければならない背景については、「イタリアは1999年にユーロ圏に加盟したが、その後、経済は疲弊し、失業者数が増え、企業経営は苦しい状況となった。しかし、ドイツ経済は労働生産性が高いため、イタリアの労働者がある程度、ドイツ並みの労働生産性を持つようにならない限り、イタリアだけのためにユーロの価値を切り下げて景気を刺激することは不可能となっている。このため、ドイツ経済は強くなる一方で、イタリア経済はEU以外の他国への輸出が困難になり、この20年間経済は拡大していない」という。
また、「EUはイタリア国民がこうした政策の恩恵を得ることを妨害することは間違いない」とし、「EUは地中海を渡ってくる移民の受け入れを手助けするとイタリアに約束したがほとんど約束を果たしていない。もし両党がEUと絶縁することを希望すれば、イタリアがユーロ圏を去る可能性がある」と断言する。
提供:モーニングスター社




