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金融・経済ニュース

ECB、主要政策金利と量的金融緩和を維持―米中貿易戦争への懸念で景気減速

2018-04-27 10:12:00.0

<チェックポイント>
●ユーロ景気はピーク過ぎたとの見方

●QE継続なら利上げ開始時期にも遅れ

●9月以降の量的金融緩和延長めぐりハト派とタカ派の対立激化か




 欧州中央銀行(ECB)は26日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも据え置いた。据え置きは市場予想通り。資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和(QE)を少なくとも9月まで継続する方針も改めて確認した。

 ECBは前回3月会合でQEに関する文言のうち、不測の事態に備えたQEの規模・期間の拡大の可能性を示した、いわゆる「緩和バイアス(量的金融緩和の政策スタンス)」を初めて削除し、QE政策の終了に一歩近づいたと見られていた。しかし、米中貿易戦争への懸念が足かせとなり、鉱工業生産や小売売上高、建設関連の景気指標が悪化し、年初に比べ景気拡大ペースが緩やかになっている。このため、市場ではユーロ圏景気はピークを過ぎたとの見方が大勢だ。

 緩和バイアスの文言が削除された背景には、資産買い入れが技術的に困難になってきていることに加え、ユーロ圏の17年10−12月期GDP(国内総生産)伸び率が前年比2.7%増と、強い回復力を示したため、QEの規模・期間の拡大を約束する文言は不自然な印象を与えていたことにあった。しかし、ユーロ高と米中貿易戦争が景気に悪影響を及ぼすとの懸念が強まる中、18年のユーロ圏の成長率は2.0%増に鈍化することが見込まれている。23日にIHSマークイットが発表した4月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数)は55.2と、14カ月ぶりの低水準となった3月と変わらず、2月の57.1から急低下し厳しい状況が続いている。また、24日に発表された2月の企業向け融資額の伸びも1月より0.3ポイント低下し、企業の業況感の低下と符合した。

 ECBはAPPを通じてユーロ圏経済に十分な流動性を供給することによりインフレ率を物価目標に押し上げようとしているが、APPの期限を9月以降も延長すればするほど、利上げ開始の時期が遅れる。ECBはQEを年末まで継続するというのが市場の大方の見方だが、仮に今年末にQEを終了したとしても、ECBは十分な期間を置いてから利上げを開始すると表明しているため、最初の利上げは早くても19年半ば、または19年後半となりそうだ。

 一方、市場ではECBは景気に配慮した金融緩和政策から早期に脱却するのではないかとの思惑がくすぶり続けているのも事実だ。これはECB内のドイツ連邦銀行(ドイツ中銀)を中心としたインフレリスク重視のタカ派(金融引き締め派)による出口戦略への転換圧力が高まっているためで、ハト派(金融緩和派)との対立が今後、鮮明化する恐れがある。ユーロ圏内で景気が好調なドイツは早期に金融を引き締めなければ国内景気が過熱することを強く警戒している。

 ECB委員でドイツ連銀のイェンス・バイトマン総裁は、20年までにインフレ率が2%近くとなる軌道に入れば、早期に金融引き締めに転換するよう主張。他方、フィンランド銀行(フィンランド中銀)のエルッキ・リーカネン総裁は、インフレ率が2%上昇を一時的に超えるまでは金融引き締めを待つべきと主張する。その意味で次回の6月14日の会合か、そのあとの7月26日の会合で、9月以降のQEの延長問題が活発に議論される可能性がある。

提供:モーニングスター社