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金融・経済ニュース

英EU離脱協議―EU懐疑派が躍進するイタリアの政治情勢、英国に追い風か

2018-04-24 13:47:00.0

 3月2日にメイ英首相がEU(欧州連合)離脱交渉で現実路線に転じた演説を行ったことから、EUの強硬路線が弱まる可能性が浮上してきたが、要因はそればかりではない。3月4日のイタリア総選挙で与党の中道左派(民主党)政権が敗れ、右派で反移民のEU懐疑派の「リーガ(同盟、旧・北部同盟)」と、かつて欧州議会でUKIP(英国独立党)と連携したことがある左派のポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」が躍進したことは見逃せない。リーガと五つ星はともにEU懐疑派で今のEUの英国いじめの離脱交渉を愚かな行為だと批判し、イタリアがEUを無視して英国と自由貿易協定を結ぶ考えを支持しているからだ。

 五つ星のルイジ・ディマイオ党首が4月3日の地元テレビ局のインタビューで大敗した民主党(PD)と連立する意向を表明したことからリーガとの大連立の可能性は現状では薄くなった。ただ、最大議席を獲得したリーガを中心とする中道右派連合が政権をいずれ樹立できれば、リーガのマッテオ・サルビーニ書記長が次期首相に指名され、EUの結束にひびが入る可能性がある。そうなれば、英国のEU離脱交渉が有利に運ぶというシナリオも浮かぶ。

 この他の要因としては、3月4日に英国で発生したロシア人二重スパイ、セルゲイ・スクリパル氏とその娘のロシア製神経剤による毒殺未遂事件。この事件を受け対ロ制裁に踏み切った英国にEUの主要国が同調し、英国とEUが対ロ制裁で一致団結した。軍事力でEU主要国と肩を並べ、最近、中東ペルシャ湾のバーレーンに50年ぶりに海軍基地を築いた英国が欧州安保に貢献するようになれば、貿易交渉にも好影響が及ぶ。ロンドンにあるシンクタンクの欧州外交評議会(ECFR)は3月20日付リポートで、「スパイ毒殺未遂事件が英国とEUの将来の関係、特に、安全保障・防衛分野で英国がEUの“特別なパートナー”となる可能性が高まってきた」と指摘している。

 一方、英国内で新たなEU残留派による巻き返しの動きも強まっている。英下院のEU離脱特別委員会が4月4日、18年10月のEU首脳会議までにメイ政権がEUと合意した離脱条約案を承認するかどうかを決める際の15項目の判断基準(北アイルランド国境問題含む)を示したからだ。15項目はEU離脱支持派がEU残留支持派の議員がまとめたと批判しているように難問だらけで、英紙デイリー・テレグラフ紙は15項目のうち、大半の9項目で“不合格”になるとの分析結果を報じた。

 さらに、同委員会は貿易協議で、英国がEUと“特別なパートナシップ協定”を結べない場合、その代替案としてノルウェーのようにEU非加盟国がEUとEEA(欧州経済領域)協定を結びEU単一市場にアクセスする方法、もしくはEFTA(欧州自由貿易連合、ノルウェーとアイスランド、リヒテンシュタイン、スイスの4カ国で構成)のメンバーとなることを検討するよう要求している。英国議会が15の基準を満たせない場合はEUとの合意(条約案)を承認しないとなれば、離脱協議は限りなくノーディールに近づくことになる。

提供:モーニングスター社