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金融・経済ニュース

英国のEU離脱第2段階協議、EU首脳会議で合意承認へ(2)―現実路線に転換したメイ英首相

2018-03-20 12:23:00.0

 3月19日、英国のデービッド・デービスEU離脱担当相とEU(欧州連合)のミシェル・バルニエブレグジット首席交渉官による第2段階協議は19日合意に達し、移行期間協議に関する条約案が23日に開かれるEU加盟27カ国首脳会議で承認される見通しとなった。これまでの経緯を振り返りつつ、今後の方向性を検証する。

 EUはすでにメイ英首相が2月21日に提示した、いわゆる“3つのバスケット案”は、英国の“チェリーピッキング”(いいとこ取り)で、これを認めればEU単一市場の完全性が失われるとして、完全に拒否していることも移行期間終了後の英国とEUの将来の関係に関する協議を難航させる要因となる。

 3つのバスケット案とは、EUと将来の関係について協議する場合、双方の規制ルールをどう整合させるかについて、
(1) 既存のEU法・ルールを完全に受け入れる
(2) 既存のEU法を修正し、EU法・ルールが目指すのと同じ目的を達成する
(3) 規制分野(セクター)によってはEU法・ルールを完全に拒否する
 ――の中から一つを選ぶという提案だが、メイ英首相は3番目のEU法の選択的受け入れ(managed divergence)で閣内統一している。これは、英国は分野によってはEUの新法を含めEU法に従うというものだ。

 メイ英首相が今後、早急に解決しなければならない問題は、EU(特にドイツとフランス)がメイ英首相のEU関税同盟・単一市場からの離脱を阻止するため、離脱と引き換えに北アイルランドにEU法・ルールを適用しEUの属州にすることを提案していることだ。これについては、EUは2月28日に公表した、今後の英国との将来の関係に関する文書でも言及しており、南北アイルランドの国境を鉄条網や検問所などを設けて厳重に警備する、いわゆる、ハードボーダーを設置しないことを確実にするため、英国領である北アイルランドに離脱後もEU法・ルールに合致させ、EUの関税同盟の一部とすべきと要求している。こうした要求もEUは何とかしてでも英国を離脱させないという意図の表れといえる。メイ政権を支える北アイルランドのDUP(民主統一党)は「これは北アイルランドと英国の間に国境を設けるのと同じだ」として猛反発している。

 メイ英首相は3月2日、ロンドン市長公邸でEU離脱交渉方針について演説し、欧州メディアの注目を集めた。これは2月22−23日にチェッカーズの首相別邸で閣内統一した交渉戦略の内容とほぼ同じものだったが、新たにロンドン金融街(シティ)の最大の関心事だったパスポート・ルール(単一免許でEU域内での営業が可能な制度)をEUに求めないと明言し、現実路線に転換したからだ。

 ただ、演説後の記者団との質疑応答でBBCの政治記者からは、「大半がこれまで言ってきたものばかりだが、(それで)EUから妥協を勝ち取れるのか」という辛辣な質問を浴びた。これに対し、メイ英首相は、「これが英国にとってもEUにとってもベストな合意になる。EU自体、英国とは大胆な関係を望むと言っている」と意に介さず、「バッドディールならノーディールのほうがましだが、EUとの合意に自信を持っている」と強気の姿勢を押し通した。

 テレグラフ紙は同日、メイ英首相の演説について、「強硬離脱派は英国の主権回復の立場が明確になったとする一方で、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官も英国は相矛盾することは求めないというトレードオフの認識を初めて示した、と評価した」と伝えた。メイ英首相の現実路線への方向転換によって今後の交渉でEUから妥協点を引き出せるか見守る必要がある。

提供:モーニングスター社