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英国のEU離脱第2段階協議(2)―EU首脳会議で協議開始が承認される可能性浮上
2018-03-19 14:03:00.0
3月16日、英国のEU(欧州連合)離脱をめぐり新たな動きがあった。英紙デイリー・テレグラフが、「英国とEUの双方の交渉担当幹部がテレグラフ紙に対し、移行期間協議は北アイルランド国境問題の進展と結ぶつけられることはない、と語った」と報じたことから、3月22−23日のEU加盟27カ国の首脳会議で第2段階協議の開始が承認される可能性が出てきた。北アイルランド国境問題はその翌週の3月26日から始まる英・EU間の事務レベルの集中協議に先送りされる見通しとなったことを意味し、これは英国にとっては一歩前進となる。
英国内では、強硬離脱派のリーダーで影響力が大きいボリス・ジョンソン外相が第2段階協議の行方を変える重要な発言を行っている。同外相は2月14日のロンドン市内での講演で、「EUの関税同盟に残るメリットは群を抜くほど大きなものではなく、また、明白なものでもない」と批判し、EUやアイルランドからの圧力攻勢に屈服しそうになるメイ英首相を“援護射撃”したからだ。この発言は今後のEU協議で英国が攻勢に転じるきっかけを作ることになった。
また、ジョンソン外相は講演で、メイ首相が1月17日にランカスターハウスでの講演で示したブレグジット原則を支持する考えも強調した。BBCは「これで最も安堵したのはメイ英首相だ」とも指摘した。ブレグジット原則とは主に、(1)EUの関税同盟の正規メンバーになり続ければ、英国は他国と独自の貿易協議ができなくなり、EUとはできる限り摩擦のない貿易関係をEUと築くため、全く新しい関税同盟、または関税同盟の準メンバー、あるいは関税同盟の一部を維持する(2)EU移民の出入国管理と欧州司法裁判所(ECJ)の影響力の排除を最優先課題する――の2点があげられる。
メイ首相はEUとの移行期間交渉を有利に運ぶため、強硬離脱派と穏健離脱派に分断された閣内の一本化に取り組んだ。2日間にわたった大論争の末、ようやく閣内統一に成功したが、この間に結論は二転三転するという荒っぽいものだった。1日目の会合は2月21日、バッキンガムシャー州チェッカーズの首相別邸にブレグジット関係閣僚10人を招集して開かれた。しかし、この会合では強硬離脱派のジョンソン外相と穏健離脱派のフィリップ・ハモンド財務相の論戦に終始し溝は埋まらなかった。しかし、それにもかかわらずメイ英首相はこの討論で十分にガス抜きができたと判断し、すかさず会合後の21日夜、EUに英政府の移行期間交渉に関する英政府のガイドラインを提示した。
ガイドラインでは、(1)移行期間に期限を定めず事実上無期限とする(2)EUの同意なしに他国との貿易協定に調印しない(3)移行期間中のEU新法に従う――という、どちらかといえばEUに寄った内容だった。これには強硬離脱派が驚きメイ英首相に修正を求めた。強硬離脱派の急先鋒であるUKIP(英国独立党)は、「これでは離脱後も英国は長期にわたって欧州司法裁判所(ECJ)の監督下に置かれる」と猛反発。保守党も「無期限とするのはブレグジットを名ばかりにし、民主主義を捻じ曲げるものだ」と抗議した。
強硬離脱派の批判が強まる中、2日目の会合が2月22日に開かれた。今度は一転して強硬離脱派に軍配が上がった。2回目の会合はメイ英首相が前日の会合に引き続き、今度は閣僚11人からなる「ブレグジットに関する閣内小委員会」を首相別邸で開催した。8時間にも及んだ長丁場の討論のあげく、「移行期間中はEU法の法令順守は分野ごとに選択して決める」という方針で閣内の意見を一本化した。この意味について、テレグラフ紙は翌23日、ジェレミー・ハント保健相のコメントを引用し、「EU法に従わないということで一致したことは強硬離脱派の勝利だ。英国は離脱後、関税同盟には残らない。つまり、独立した主権国家として他国と貿易協定交渉ができることを意味する」と伝えている。
猫の目のように目まぐるしく変わるメイ英政権の交渉方針の決定に、同紙は、「メイ首相は(深謀遠慮なのか、それとも、単に愚かなだけなのか、閣僚の討論中)何も言わない。これではメイ首相は何を望んでいるか誰も分からない」と嘆く。メイ英首相の“迷走”はまだ続きそうだ。
提供:モーニングスター社




