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英国のEU離脱を占う―“ノーディール離脱は最悪ではない”という覚悟が活路となるか(2)
2018-02-05 14:13:00.0
(1)から続く
暮れも押し詰まった17年12月20日、英国のEU(欧州連合)離脱後のロンドンの金融街(シティ)の在り方をめぐってBOE(英中銀)がEUに対し1つの重要な新提案を発表した。これは英国がEU離脱後もシティで欧州の銀行に対し、いわゆるパスポート・ルール(単一免許でEU域内での営業が可能な制度)の適用を認めるというものだった。シティが相互互恵主義の原則でEUから同じようにパスポート・ルールを手に入れることができれば、シティからの金融機関の海外流出が止まり、BOEが10月に発表した金融サービス業で最大7万5000人もの大量失業という最悪の事態から免れられるからだ。
しかし、EUのブレグジット首席交渉官ミシェル・バルニエ氏は前日の19日、英紙ガーディアンに対し、「シティを守るためにロンドンだけを特別扱いする合意はしない。英国がEUを離脱しEUの単一市場を離れれば今まで通りとは行かない」と、BOEの提案を拒否する考えを示した。今後、BOEの思惑通りパスポート・ルールの相互承認が実現するのは難しい情勢だ。
メイ英首相は議会の拒否権という「高い壁」に前をふさがれ、ノーディールかバッドディールかの厳しい選択に迫られることになった。そんな中、メイ英首相は18年1月9日の内閣改造で、新たにノーディール担当相を設けるとのスクープ記事が英国メディアによって報じられた。結局は不発に終わったものの、それに近い出来事が起こった。強硬離脱派のUKIP(英国独立党)のスティーブン・ウールフェ欧州議会議員ら超党派の議員や財界人が1月10日、EU本部でバルニエ首席交渉官と会談し、英国との貿易交渉がバッドディールに終わるようなら交渉の席を蹴ってノーディールにし、英国はWTO(世界貿易機関)に復帰する、と警告した。
ウールフェ議員は出発前、記者団に対し、第2次世界大戦で英国を勝利に導いた当時の首相、ウインストン・チャーチルの「過去に固執するものは未来を失う」という格言を引用して、メイ英首相に“発破”をかけた。同議員はメイ英首相も何事にも屈しないチャーチルの強い精神を発揮し、ノーディールも辞さぬ覚悟でEUと交渉するよう訴えたものだ。メイ内閣にノーディール担当相いなくても、メイ英首相が「バッドディールならノーディールで離脱する」という強い意思を貫けるようなら、EU加盟国の首脳らを動かしグッドディールの道が開けるかもしれない。
提供:モーニングスター社




