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英国のEU離脱協議を占う―英国と北アイルランドの合意頓挫で、労働党政権誕生との見方も浮上(1)
2018-01-29 13:13:00.0
北アイルランドの民主ユニオニスト党(DUP)のアーリーン・フォスター党首は17年12月8日早朝、英テレビ局スカイニュースのインタビューで、「(同月)4日の最初の合意案の表現をめぐって(メイ英首相と協議し)、6カ所の大きな変更を勝ち取った。これで北アイルランドは英国本体と一体となってEU(欧州連合)の統一市場と関税同盟から離脱できる。憲法上、また、政治的にも経済的にも英国本体との一体性が確保された」と述べている。
これより先、同党首は4日の会見では、北アイルランドと英国との間のアイリッシュ海に国境や関税障壁を設けないために、「北アイルランドは英国と同じ条件でEUから離脱しなければならない。経済的にも政治的にも英国との規制の違いは受け入れられない。英国との一体が損なわれることは認められない」と述べていた。しかし、この懸念が解消されたことで、メイ英首相はEUとの最終合意に踏み切ることが可能になったのだ。
また、メイ英首相は12月8日の会見で、北アイルランドと英国との関係について、
(1)英国は北アイルランドと一体であること
(2)北アイルランドの英国市場での立場を保護する
(3)北アイルランドと英国本体との間に新たな国境を設けない
(4)北アイルランドは英国本体とともにEUの関税同盟と統一市場から離脱する
(5)グッドフライデー合意(98年4月10日に英国とEU加盟国のアイルランドの間で結ばれた、英国の北アイルランド6州の領有権主張を認める和平合意)を順守する
(6)EU離脱後も北アイルランドと英国本体は欧州司法裁判所(ECJ)の管轄には入らない
――の6項目を約束している。
フォスター党首は最終合意でも「規制の合致」(regulatory alignment)の文言が条件付きとはいえ盛り込まれたことが気がかりだったが、協議を前進させるというメイ英首相の説得に押され、国益優先で受け入れ難い提案を呑んでいる。それだけに、英国の一部の有力なメディアは、今後、メイ英首相とフォスター党首に対し自党内での批判が強まり、英経済界を敵に回している最大野党の労働党のジェレミー・コービン党首が漁夫の利を得て政権を握る可能性も出てきた、と伝え始めた。
また、離脱協議が次の段階(2年間の移行期間の条件設定)に進んでも、貿易協定をめぐって完全な自由貿易協定の締結は難しく曲折が予想される。ブレグジット首席交渉官であるミシェル・バルニエ氏は12月8日、早くも英国との貿易協定はカナダとEUが結んだ自由貿易協定がモデルになる、と主張した。これに対し、デービッド・デービスEU離脱担当相は同月10日、英紙テレグラフのインタビューで、「英国はカナダ方式にプラス、プラス、プラスの貿易協定目指す」と宣言し、両者の意見はぶつかっている。閣内でもフィリップ・ハモンド財務相はノルウェーのようにEU非加盟国がEUとEEA(欧州経済領域)協定を結びEU単一市場にアクセスするという、かなりEU規則に合致させる方式を主張しており閣内でも調整が難航するのは必至だ。
(2)に続く
提供:モーニングスター社




