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英国のEU離脱協議を占う―英国と北アイルランドの合意頓挫で、労働党政権誕生との見方も浮上(2)
2018-01-29 13:13:00.0
英国とEU(欧州連合)の最終合意文書に盛り込まれた「規制やルールの合致」や35億−39億ポンドと推計される巨額な手切れ金(清算金)、英国在留のEU市民の権利をめぐる訴訟で離脱後8年間も欧州司法裁判所(ECJ)の調停介入を認めたことをめぐって、英国内では当初、英国がEUに屈した内容と見られ、UKIP(英国独立党)のナイジェル・ファラージ元党首は同月8日、「合意内容は屈辱的だ。16年6月の国民投票で離脱を決まったすべてのことが崩れ去った」と憤慨し、EU懐疑派や強硬離脱派から批判を浴びた。
しかし、英紙テレグラフが12月9日付のスクープ記事で、メイ英首相の側近らが事前に離脱強硬派のボリス・ジョンソン外相とマイケル・ゴーブ環境相を含む一部閣僚に、北アイルランド国境問題の解決方法として、英国とEUの将来の貿易協議の枠組み合意の中で解決策を見出せなかった場合、EUの単一市場と関税同盟に関する規制(ルール)と合致させることに英国はコミットする」との文言が盛り込まれたが、「これはアイルランドと北アイルランドを納得させるためのもので、英国にとって実害はないと説明していた」と暴露した。
これはメイ英首相がブリュッセルでユンケルEC委員長との最終合意を目指す直前の12月7日夜から8日未明にかけて、メイ英首相の側近がEU懐疑派のボリス・ジョンソン外相とマイケル・ゴーブ環境相らに説明したものだ。この話し合いにはメイ英首相のガビン・バーウェル官房長官も参加していたという。
また、北アイルランドは12月4日の合意案に盛り込まれていた「規制やルールの合致」については、北アイルランドの規制をEUに合致させることになれば、英国本体との間に国境や関税障壁ができ、英国本体との一体性が失われるとして反対していたが、同月8日の最終合意文書では、「規制やルールの合致」は北アイルランドだけに適用されるのではなく、英国全体に適用されるという認識で了解した。他方、アイルランド共和国のレオ・バラッカー首相も会見で、EUの「規制やルールの合致」は英国本体に適用されると信じて了解した、と述べている。
しかし、テレグラフ紙は、「英国の政府筋はメディア各紙に対し、「規制やルールの合致」は英国がEUの単一市場や関税同盟に離脱後も残るという意味ではない、と説明している。ジョンソン外相とゴーブ環境相らEU懐疑派にも「規制やルールの合致」は、「EU法に規定されていないため、(合意文書に盛り込まれていても)法的拘束力はなく、何の意味もないと説明した」と伝えている。
思い返せば、メイ英首相が12月8日、EUとの最終合意に達したことを受けて、離脱支持派のリーダーであるゴーブ環境相もジョンソン外相もなぜか手放しで称賛した理由がここにあったのも頷ける。普通、問題だらけの合意文書であればEU懐疑派の重鎮2人が称賛するのはおかしな話だった。
提供:モーニングスター社




