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ECB、主要政策金利を現状維持―資産買い取り政策も継続
2018-01-26 09:21:00.0
<チェック・ポイント>
●主要政策金利を「長期にわたって維持する」政策方針変わらず
●ドラギECB総裁、「ユーロ圏経済強い回復示すものの景気刺激の支援まだ必要」と発言
●ユーロ高と低インフレの進行で早期の利上げや量的金融緩和打ち切り困難
欧州中央銀行(ECB)は25日の定例理事会で、市場の大方の予想通り、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%、上限の限界貸出金利を0.25%と、いずれも現状を据え置いた。
また、非伝統的手段である資産買い入れプログラム(APP)による量的金融緩和(QE)の規模縮小とQEの実施期間を9月まで延長する方針も引き続き維持することを決めた。
ユーロ圏の経済成長率が10年ぶりの高い伸びを示し、900万人の雇用増加に見られるように雇用市場も安定、消費者信頼感指数にも改善がみられ、ユーロ圏の景気回復は順調に進んでいる。11日に公表されたECB議事録(17年12月14日開催分)の内容から、市場ではドラギECB総裁は景気回復の腰を折らないため金融政策の大まかな方針を急激に変えることはせず、政策金利の微調整(小幅利上げ)や資産買い入れの段階的中止などには踏み切らないと予想していた。実際、市場の観測通り、ECBは今回の会合後に発表された声明文で、「主要政策金利を長期にわたって維持する」、「資産買い入れは物価目標の達成が確実と判断されるまで続ける」と、前回会合時と同じ文言を使っている。
ドラギ総裁は会合後の記者会見で、今後の金融政策のスタンスについて、「インフレ率を健全な水準にまで高め続けるためには、ユーロ圏経済はまだ支えを必要とする」、「ユーロ圏経済は一段と強い回復を示しているものの、潤沢な量の景気刺激の支援がまだ必要だ」と述べており、政策スタンスの引き締めへの転換を否定した。
ドラギ総裁は17年10月会合でQE規模の縮小を決めた際にも、「QEの調整、つまり、ダウンサイジング(規模縮小)であり、QEがいつか打ち切られることを意味するテーパーリングではない。18年9月にいきなり打ち切られるわけではない」と述べ、QEがオープンエンド(無期限)であることを強調。市場で言われているダビッシュ・テーパーリング(QE穏健離脱)に反論した。
ただ、ユーロ圏の堅調な経済情勢を背景に、ECBは景気に配慮して早い段階で金融緩和政策を変更するとの思惑が市場でくすぶり続けているのも事実だ。一方、ECBはユーロ高という新たな問題に直面し始めている。11日の議事録の公表以降、ユーロ高が進行し、ユーロは年初来でドルに対し2%以上も上昇した。ユーロ高によって輸入物価が抑制されればインフレが加速せず、ECB内のインフレリスク重視のタカ派(強硬派)による早期利上げやQE縮小による出口戦略への転換にブレーキをかけることになる。
さらに、ドイツ中銀などECB内のタカ派にとって都合の悪いことに、17年12月のユーロ圏19カ国のCPI(消費者物価指数)の速報値は前年比1.4%上昇と、前月の同1.5%上昇から鈍化し、コアインフレ率も同1.1%上昇と前月と変わらず、思ったほど加速していない。17年12月の会合で公表されたECBの最新の経済予測でも18年のインフレ見通しは1.4%上昇、19年は1.5%上昇、特に市場の注目を集めている20年は1.7%上昇となっており、20年でもインフレがECBの物価目標(2%上昇弱)まで加速しない見通しだ。今後、ECBはいつから景気刺激の金融緩和政策のスタンスを変更するのか難しい局面に入ったといえる。
次回の金融政策決定会合は3月8日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




