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英中銀、約10年ぶりの利上げを決定
2017-11-06 09:36:00.0
<チェック・ポイント>
●利上げでインフレ率の減速図る
●量的金融緩和策は現状維持
●カーニーBOE総裁は今後3年間で2回の利上げ示唆
イングランド銀行(BOE)は2日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を7対2の賛成多数で0.25ポイント引き上げて0.50%とすることを決めた。利上げは07年7月以来約10年ぶり。BOEは英国のEU(欧州連合)離脱を決めた16年6月の国民投票直後の同年8月に緊急経済対策として政策金利を0.50%から0.25ポイントに引き下げたが、今回の利上げで国民投票前の水準に戻した。9名のMPCメンバーのうち、ジョン・カンリフ副総裁とデービッド・ラムズデン副総裁は景気の足腰がまだ弱いとして、利上げに反対した。
資産買い取りスキームを通じた量的金融緩和策については、全員一致で国債の買い取り枠を4350億ポンド(約65兆円)、投資適格級の社債買い取り枠も100億ポンドの現状を維持することを決めた。
BOEは会合後に公表した議事抄録で、「インフレ率は9月に前年比3%上昇に加速した。10月には3%上昇を超える可能性がある」とし、中銀の物価目標の2%上昇をオーバーシュートしていることから、利上げによって景気刺激を緩め、インフレ率を物価目標に向かって減速させる必要があったことを明らかにした。
また、BOEは利上げ決定にあたって、物価安定と景気・雇用の拡大のバランスに配慮し、7−9月期GDP(国内総生産)伸び率が前期比0.4%増と、前期の同0.3%増から伸びが加速して経済の不活発による高水準のたるみ(生産設備や労働力などの余剰)が着実に解消に向かっていることや、雇用も失業率が4.3%と、42年ぶりの低水準となっていることなど利上げの環境が整ったことを強調した。
ただ、ロンドンの外為市場では政策決定発表直後、ポンドは対ドルで1.1%、また、対ユーロでも1.3%それぞれ下落した。市場は今回の利上げを織り込み済みで、BOEの利上げが1回限りなのか、あるいは、利上げサイクルの開始なのかが注目されていた。マーク・カーニーBOE総裁は政策決定後の会見で、今後3年間の20年までにあと2回の利上げを示唆。議事抄録でも、今後の利上げペースについて、「MPC全員が今後の利上げは徐々にゆっくりとしたペースで行うことで意見が一致した」と指摘し、BOEは利上げサイクルに入ったことを示唆した。
議事抄録よると、今回の利上げはEU離脱協議が円滑に進みEUと新たな貿易関係を結ぶことを前提にしている。「今後のEU離脱協議の成り行きへの家計や企業、金融市場の反応が景気やインフレの予測に対するリスクになる」と指摘しており、EU離脱協議の行方次第で景気やインフレの上ブレ・下ブレリスクとなる。
中銀の次回会合は12月14日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




