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メイ英首相、EU離脱協議方針巡り短命政権に終わるか
2017-10-30 09:18:00.0
英国のメイ政権は短命に終わる可能性が出てきた。メイ首相は9月下旬のイタリア・フィレンツェでの演説で、19年3月のEU(欧州連合)離脱後に2年間の移行期間を設けることや200億ユーロ(約2.6兆円)の手切れ金支払いなどを柱とした英政府の離脱方針を明らかにしたが、10月12日に終わった5回目の離脱協議でも手切れ金の金額をめぐって進展が見られなかったためだ。
メイ首相は移行期間中、英国はこれまで通り、EU予算への支出や人の移動の自由、欧州司法裁判所(ECJ)の管轄に入るなどすべてのEUルールを受け入れる姿勢を示しているが、EU離脱強硬派のUKIP(英国独立党)のナイジェル・ファラージ元党首は、英紙デイリー・テレグラフへの10月10日付寄稿文で「メイ首相はEUのどんな気まぐれな思いつきにも卑屈に従順となる“ステップフォード・ワイフ(言いなり妻)”となった」と罵倒している。
英国内では、与党・保守党内のEU強硬離脱を主張する造反議員からも、EU離脱協議で自由貿易協定の締結について何も合意が得られない“ノーディール”に終わるならメイ首相は退陣すべき、と突き上げられ始めた。英国のメディアも“ノーディール”の確率が100%近くに達した、と伝え始めている。予想通り、離脱協議が“ノーディール”に終わった場合、メイ首相は議会や国民の信頼を失い政権を維持することができなくなるのは必至だ。
10月に入り、メイ政権が短命に終わるのを暗示する2つの象徴的な出来事が起きた。一つはデービッド・デービスEU離脱担当相の辞任発言だ。英紙デイリー・メールは10月3日、「デービス氏は友人に19年3月のEU離脱時に辞任し、その後の移行期間中のEUとの協議はジョンソン外相に任せる、と友人に打ち明けた」いうものだった。この2つの出来事を結びつけると、テレグラフ紙のコラムニスト、アラン・タイヤーズ氏は今後のメイ首相とジョンソン外相の関係性が見えてくるという。同氏は4日付紙面で、メイ首相がP45を受け取った時の光景を「第2次世界大戦勃発前、ドイツとの融和政策を選択したネビル・チェンバレン英首相が1938年9月にドイツ・ナチス政権のアドルフ・ヒトラー総統とのミュンヘン会談から帰国し、手にはドイツとの不戦合意を示す1通の文書を持ってヘストン空港に降り立ち演説したのと酷似している」と揶揄した。メイ首相がチェンバレンで、ジョンソン外相はチェンバレン首相を引き継ぎ、第2次世界大戦で英国を勝利に導いたウインストン・チャーチル首相という、英国ならではのブラックジョークだ。
もう一つは10月4日に英国北西部の大都市マンチェスターで開かれた与党・保守党の党大会に社会風刺の過激なパフォーマンスで知られるコメディアン、サイモン・ブロードキン氏が乱入し、演説中のメイ首相に「P45」という税務署提出用の従業員解雇通知書を模した1枚の文書を手渡したという珍事件だ。書式上の雇用者欄にはEU離脱強硬派のボリス・ジョンソン外相の名前が書かれており、ジョンソン氏がメイ氏を解雇するという痛烈な風刺だった。テレグラフ紙のスティーブン・スウィンフォード政治部次長らはこの茶番劇について、「メイ首相の党大会での演説がすっかり台無しとなったことで、メイ首相は(短命に終わるかどうか)分かれ道に立った」と述べ、メイ政権の長期存続に疑問を投げかけた。
英BBC放送は10月5日、「保守党の重鎮、グラント・シャップス元党議長がメイ首相の交代を求め、党首選を組織する保守党議員委員会(通称1922年委員会)の開催を要求。党首辞任を支持する議員は30人集まった」と伝えた。最低48人の支持があれば同委員会の開催が可能で、保守党の次期総裁、次期首相の座をめぐってし烈な戦いが繰り広げられることを意味する。
提供:モーニングスター社




