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ECB、量的金融緩和の規模半減と18年9月までの延長を決定―将来の規模拡大・再延長の可能性示唆
2017-10-27 08:26:00.0
<チェックポイント>
●ドラギECB総裁、QE打ち切りの考えを否定
●市場は「ダビッシュ・テーパリング」と受け止め、ユーロ売り加速
●利上げは19年以降に
欧州中央銀行(ECB)は26日の定例理事会で、主要政策金利のうち、市場介入金利である定例買いオペの最低応札金利(リファイナンス金利)を0.00%に、下限の中銀預金金利をマイナス0.40%に、上限の限界貸出金利を0.25%に据え置いた。一方、非伝統的手段である資産買い入れプログラムによる量的金融緩和(QE)の規模縮小とQEの実施期間の延長を決めた。
ECBは景気を刺激しインフレ率を物価目標にまで高めることを狙って、現在、ユーロ圏の商業銀行から月額600億ユーロ(約8兆円)のペースでユーロ圏19カ国の国債やABS(資産担保証券)、カバードボンド(担保付き債券)などの資産を買い入れているが、ECBは理事会後の声明文で、「12月末まで月600億ユーロのペースで資産買い入れを続け、18年1月からは月300億ユーロのペースで9月末まで買い入れを行う」とし、併せて、「もし必要があれば、それ以降も資産買い入れを継続する。金融情勢が悪化し、インフレ率の物価目標(2%弱)に向けた勢いが持続することが困難になれば、買い入れ規模を拡大し、期間も再延長する用意がある」と指摘し、QE終了に慎重な考えを示した。
ドラギECB総裁は会見で、QEの規模縮小について、「今回の決定はQEのダウンサイジング(規模縮小)であり、QEを最終的に打ち切るテーパリング(段階的縮小)ではない。17年9月に打ち切るわけではない」とQEがオープンエンド(無期限)であることを強調した。
市場ではこれを「ダビッシュ・テーパリング(QEの緩やかな段階的縮小)」と受け止め、ユーロが対主要通貨で急落。ユーロ・ドルは1ユーロ=1.16ドル台半ばまで1%近く下落した。
ECBがQEの規模縮小に踏み切った背景には、適格な買い取り資産が枯渇する恐れがあることが挙げられる。このため、市場ではECBは早晩、買い入れ規模の縮小に踏み切らざるを得ないとみていた。通常、ECBがQE終了を決定し金融引き締めに政策転換すれば、ユーロの需要が強まるとの思惑で市場はユーロ高を織り込み始めるが、今回の決定はテーパリングではなく規模縮小とトーンダウンしたことからユーロ売りに傾いた。
ECBが資産買い入れ規模を半減するのは、それだけユーロ圏経済の回復に自信を深めている表れといえる。ユーロ圏19カ国の4−6月期GDP(国内総生産)伸び率は前年比2.3%増となった。しかし、ドラギ総裁は、インフレ率が物価目標の2%弱の上昇率にとどまるなら、景気刺激を続ける必要があるとの考えを示し、QE終了に踏み込まずに買い入れ規模拡大・再延長に含みを持たせた。
市場では、前回9月会合時の声明文に盛り込まれた「もし金融市場が悪化し、インフレの調整が進ちょくしない状況になれば、資産買い入れスキームの規模や実施期間を拡大する用意がある」との文言が削除されるかどうかに注目していたが、結局、ほぼ同じ内容で据え置かれた上に、「資産買い入れスキームで買い取った債券を償還後再投資することによって買い取り規模を維持する」との方針も再確認された。
ECBにとってユーロ高は景気を抑制する懸念材料だ。これはユーロ高がユーロ圏輸出を弱め、インフレ率を減速させ物価目標の達成を難しくするからだ。このため、ECBはQEを縮小し金融引き締めを急いでユーロ高を招くことは望んでおらず、QE終了についての言及を遅らせるとの見方を示すエコノミストも少なくなかった。
一方、政策金利については、現状維持を長期継続する考えを改めて強調した。また、今回の声明文から、「リファイナンス金利は少なくとも19年の最後の支払い準備金の積立期間の終了時まで維持される」との文言が付け加えられた。市場では利上げは19年以降になるとみている。
次回の金融政策決定会合は12月14日に開かれる予定。
提供:モーニングスター社




