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英国のEU離脱交渉、メイ首相の演説に反応冷ややか
2017-09-25 08:54:00.0
メイ首相は22日、訪問先のイタリア中部のフィレンツェで暗礁に乗り上げ膠着状態に陥っているEU(欧州連合)離脱交渉の事態打開を目指して重要な演説を行った。19年3月の離脱後に2年間の移行期間を設置することや、移行期間中のEU予算への支出や人の移動の自由を維持する方針などを述べたが、英国の政界やEU、英メディアの反応は冷ややかだ。
英国の最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は22日、英テレビ局スカイニュースのインタビューで、「メイ首相はわれわれがすでに知っていることを話しただけだ」と批判。また、24日には英BBC放送で、「移行期間中に英国がすべてのEUルールに従えばEUから規制を受けて英国の国内産業が打撃を受ける」と警告した。
EU離脱強硬派のボリス・ジョンソン外相も23日、テレグラフ紙で、メイ首相の演説について、「移行期間中はEU加盟国ではない。その間、英国がEUの意思決定過程に関わらず、英国不在で決められたEUルールに従うというのは間違いだ」と主張した。
一方、EU側のブレグジット(英国のEU離脱)を担当するミシェル・バルニエ首席交渉官は22日、メイ首相の演説内容について、「北アイルランドの国境問題についての英国の方針は依然不明瞭だ。今後、英国との4回目の離脱協議で、メイ首相の演説内容が具体的に示される必要がある」と演説内容の不明瞭さに不満を露わにした。その上で、「英国との将来の関係について議論を進める前に3つの重要課題(手切れ金、EU市民の在留権、北アイルランド国境)の解決で大きな前進がなければならない」と改めて強調した。英国に同情的なフランスのマクロン大統領も同じ反応を示した。メイ首相の演説をきっかけにEU離脱協議が前進する可能性は低い。
英政府は8月に発表したEU離脱交渉方針で、EUとの貿易・関税協議が失敗に終わる最悪のシナリオも想定している。交渉方針の中で、「EU協議が不調に終われば、今秋をメドにEU離脱後の英国独自の関税やVAT(付加価値税)などに関する関税法案を策定しなければならない」と明記している。
EUとの貿易・関税協議の失敗は、ハードブレグジット(EU市場への自由なアクセスの大半を失う強硬離脱)を意味するが、必ずしも英国にとって損失ではないという主張もある。世界繁栄指数を発表することで知られる英シンクタンク、レガダム研究所の経済政策・繁栄研究の第一人者シャンカー・シンハム氏がその一人だ。同氏は、EUとの関税同盟は国益にならないと警告する。
同氏は、英紙デイリー・テレグラフの8月17日付電子版で、1840年代の英国で食料価格を高く吊り上げていた穀物(関税)法を廃止し英国の国際競争力を高めた著名政治家のリチャード・コブデンとジョン・ブライトの両氏の自由貿易運動を引用して、こう述べている。「EUが市場を閉ざすなら、英国は一方的に関税を引き下げて自由貿易主義を追求すれば英国に繁栄がもたらされる」。また、「英国はEUと新たな関税同盟を結べば、EUと関税同盟を結んだトルコの例のように何か必要なたびにEUとの交渉が必要になる負担を背負うことになる。英国はEU離脱後、どの国とも自由貿易協定を結ぶ用意があることを明確にすべきだ」と主張する。
提供:モーニングスター社




