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イエレンFRB議長とドラギECB総裁のジャクソンホール講演受けて米株高、ユーロ急伸
2017-08-28 08:38:00.0
<チェックポイント>
●イエレンFRB議長、金融政策の方向性示さず
●イエレンFRB議長、金融規制の成果を強調、トランプ政権とは相容れず
●ドラギECB総裁、通貨高容認との見方強まりユーロ急伸
イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は25日、世界主要国の中銀総裁ら金融当局や大手金融機関のトップが参加する米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済金融シンポジウムで講演した。
同議長は事前に用意した講演用テキストで、過去の金融規制改革について言及。「08年の世界的な金融危機から10年が経過し、強靭な金融システムが世界経済にとって不可欠なものになっている」とした上で、「金融規制改革が金融システムの強靭性を一段と高めた結果、銀行は一段と安全となっている。銀行の満期返還(短期の預金などをローンなどの中期の資産に変換すること)の効果で金融リスクが低下し、また、システミックリスクを最小限にするための規制の強化によって破たん処理の可能性が高まり、巨大金融機関は“大きすぎて潰せない”という問題も減少してきた」と指摘した。
また、「金融規制改革と金融政策などによって、信用供与の条件が改善し、銀行貸し出しもここ数年の経済活動と歩調を合わせて広範囲に及び、現在の強い経済に貢献している」と述べ、米経済の堅調さを強調した。これを受けて、ダウ工業株30種平均が上昇。ただ、今後の金融政策の方向感を示唆する発言はなかったため、年内利上げ観測が後退し、ドル売りが進んだ。
市場では18年2月に任期が満了となるイエレン議長がトランプ米大統領によって再任されるかに注目しているが、同議長は今後の金融規制改革について、「市場流動性は、特に社債などの債券市場では十分潤沢となっており、市場は健全な状況にある。流動性の状況は明らかに進展している」とした上で、「規制改革の新しい枠組みはディーラーの金融ショックに対する強靭性を高めており、規制改革の新しい枠組に対する変更は穏やかにとどめ、大手の銀行やディーラーの強靭性が引き続き高められるように留意すべきだ」と述べたことから、金融規制が銀行貸し出しと経済を閉塞させていると主張するトランプ大統領と相容れず、再任はないとの観測が強まった。
一方、同会合に出席したECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁も講演では金融政策に関する発言を控えたが、講演後の質疑応答で記者団に対し、当面の金融緩和政策について、「超緩和的な金融政策はまだ必要だ。インフレ率がECBの物価目標(2%上昇)に届いていない」と述べ、低インフレが続いていることから9月7日の次回会合での利上げの可能性を否定した。講演前、市場では利上げや量的金融緩和の規模縮小についてドラギ総裁から何らかの言及があるのではないかとして注目していた。
同総裁は事前に準備した講演テキストで、世界経済の見通しについて、「世界経済の回復が一段と強まっている」と発言。この発言直後、外為市場ではユーロが対ドルで1%高の1ユーロ=1.194ドルと急伸し、15年1月以来2年7カ月ぶりの高値を付けた。
ユーロ高急伸の背景について、サントラスト・アドバイザリー・サービシズのチーフマーケットストラテジストのキース・ラーナー氏がCNBCの25日付電子版で、「市場関係者はこれまでドラギ総裁はユーロの上昇を嫌っていると思っていたが、そうではなかった」と述べている。通貨高がユーロ圏での需要やインフレ率にブレーキをかけているとけん制姿勢を強めていたドラギ総裁がユーロ高を容認したとの見方が広がった。
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