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英政界、ブレグジット交渉の陰でメイ首相降ろし工作進む―年内退陣説も浮上
2017-08-08 09:09:00.0
ブレグジット(英国のEU離脱)交渉の陰に隠れて、英国の与党・保守党内ではテリーザ・メイ首相降ろしの工作が活発化している。
7月、30人の保守党議員がメイ首相の後継者としてデイビッド・デービスEU離脱担当相を推薦して立ち上がった。英紙デイリー・テレグラフのベン・ライリー・スミス政治部次長は7月15日付電子版で、「ボリス・ジョンソン外相との一騎打ちが表面化するだろう」と指摘。一方、「フィリップ・ハモンド財務相も支持議員を自分の議員事務所に集めて勉強会を開いた。非主流派の議員もメイ首相の今のやり方ではブレグジットも最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首のどちらも抑えきれないとして、夏季の議会閉会中でもメイ降ろしの戦略を練る動きが間違いなく活発化する」との見方を示した。
「メイ首相降ろし」の手法は、保守党議員委員会(1922年委員会)に約50人の議員が不信任案を提出して党首選挙を開催するという古典的なものから、直接メイ首相に退陣日程を示すよう迫る案などさまざま。10月の保守党大会が一つの山場となるが、同紙は「党大会を超えて年末までにはメイ首相が退陣する可能性が高い」とみている。
7月17日には英政界に異例な出来事が起きた。メイ首相が閣僚から政権を混乱させる情報リーク合戦をやめるよう「かん口令」を布いたのだ。背景には閣内でジョンソン外相やマイケル・ゴーブ環境相らEU強硬離脱支持派とハモンド財務相のEU残留支持派が衝突し、内閣が分裂状態になっていることがある。テレグラフ紙が7月17日付電子版で、「ある重要閣僚がハモンド財務相はソフトブレグジット(穏健離脱)どころかブレグジット交渉を崩壊させようとしているとリークしてきた」と伝えた一方、英テレビ局スカイニュースは7月18日付電子版で、「ハモンド財務相を攻撃する閣僚の記者懇談会が頻繁に行われている」と報じている。
英夕刊紙イブニング・ニュースも7月18日付紙面で、「保守党の関係者は、ジョンソン外相とゴーブ環境相が英国のEUへの1000億ユーロ(約13兆円)の手切れ金支払いをめぐってブレグジット交渉がこう着状態となるのを利用してメイ首相を交渉から撤退させブレグジットを終わらせようと画策していると批判している」と伝えたように、離脱派と残留派の両陣営はマスコミを巧みに操作してお互いを攻撃している。
テレグラフ紙は7月17日付電子版で、「閣内分裂はブレグジット交渉にとって毒薬だ。EUへの要求や国民への約束も台無しになり、交渉自体も吹き飛ぶ。閣僚は国益より個人的な野心や不満を優先している。閣内分裂状態が続けばメイ政権では交渉不能と見なされ交渉自体が崩壊する」と強い懸念を示した。
メイ政権のハードブレクジット(強硬離脱)の内堀は着実に埋められ始めた。メイ首相は苦境を脱するため、政治の指南役としてEU離脱の最初の「オウンゴール」を決めた保守党のデービッド・キャメロン前首相に白羽の矢を立てたが、四面楚歌のメイ政権の崩壊は時間の問題になりつつある。
提供:モーニングスター社




