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<話題>米FRB、17年から保有債券減額に着手へ―景気・雇用・物価の改善に自信示す(2)
2017-06-16 10:17:00.0
(1)からつづく
FRBは声明文で、利上げを決める根拠となった景気と雇用の現状認識について、「経済活動はこれまで緩やかに拡大している。雇用市場は引き続き強く、新規雇用者数の増加は緩やかだが、17年初めから全体として堅調が続いている。失業率も低下した」とし、インフレについても「年間のインフレ率もコアPCE(個人消費支出)物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)は物価目標の2%上昇をやや下回っており、今後もしばらくは物価目標をやや下回る見通しだ」と述べている。
その上で、FRBは、「徐々にゆっくりとした金融スタンスの調整(利上げ)とともに、経済活動は緩やかに拡大し、雇用市場も力強さを維持する。経済見通しに対する上ブレ・下ブレの両リスクはほぼ均衡している」とし、米経済は大恐慌から9年目の景気回復期に入りリセッション(景気後退)に戻るリスクはほとんどないという極めて楽観的な見方を示している。
しかし、利上げの根拠となっている雇用の見方についてはFRBの見方を楽観的すぎるとして疑問視する向きも少なくない。ジョゼフ・バイデン前副大統領のチーフエコノミストだったジャレッド・バーンスタイン氏は米紙ワシント・ンポストへの寄稿文で、5月雇用統計での新規雇用者数の伸びが13万8000人増と、市場予想の17万5000人増を下回ったことや、特に過去3カ月間と6カ月間の雇用統計の平均をみると、雇用者数の伸びがそれぞれ12万1000人増と16万1000人増と、緩やかに鈍化しているのは明らかだとして、6月の利上げに反対していた。失業率も4.3%と、01年以来16年ぶりの低水準となり、FRBが推定している完全雇用の失業率を下回ったとはいえ、同氏は、これは景気が後退して仕事を探そうとする人が減少したためで必ずしも景気の改善を示さないと言い切る。
今回のFRBの決定は全員一致ではなかった。9人のFOMCメンバーのうち、ミネアポリス地区連銀のニール・カシュカイ総裁だけがFF金利誘導目標の据え置きを主張して反対の投票を行っている。FOMCメンバーの政策金利予測では18年は3回の利上げ、19年も3回の利上げとなっており、そのころにはFF金利誘導目標はFRBがニュートラルな金利水準とする3%になっている。しかし、インフレ率が低水準で推移していることから、このままの低水準が続けば17年は利上げが行われない可能性もあるとの見方もある。また、トランプ米大統領による政権運営の混迷で米国の国債発行限度額の引き上げが難しくなる可能性もあり、FRBはこうした政界の動向にも気配りが必要になる。
また、今回、FOMCメンバーによる経済予測が改定された。それによると、中央値ベースで、GDP(国内総生産)伸び率は17年度が2.2%増(前回3月時点の予測は2.1%増)、18年は2.1%増(同2.1%増)、19年は1.9%増(同1.9%増)。PCE物価指数は17年が1.6%上昇(同1.9%上昇)、18年は2%上昇(同2%上昇)、19年が2%上昇(同2%上昇)。FF金利誘導目標は17年が1.4%(同1.4%)、18年が2.1%(同2.1%)、19年が2.9%(同3%)となっている。
提供:モーニングスター社




