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<話題>中国・全人代が5日開幕、経済面でも「習近平色」強まる可能性
2017-03-03 20:01:00.0
中国の全国人民代表大会(全人代)が5日、開幕する。台湾や香港を含めた対外姿勢、米トランプ政権への対応、腐敗撲滅など注目点は多いが、経済政策の方向性も見逃せない。と言うのは、中国は経済面においても過去にみられなかった状況が続いているからだ。
中国では江沢民政権の後期の朱鎔基首相(在任:98−03年)以来、国家主席は外交や軍事、思想を担当し、具体的な経済政策は首相が担当する役割分担が定着していた。13年に李克強首相が就任した際も、同首相の政策が「リコノミクス」などと呼ばれて注目された。その柱は「景気刺激策は実施せず」「大胆な規制緩和で企業活動や起業を活性化する」などだった。役人から政策実行や許認可権を大幅にはく奪する内容なので、猛反発も起きたとされる。
一方で習近平国家主席(共産党総書記)は15年秋ごろから「サプライサイド経済学」を主張するようになった。その骨格は「民間投資と貯蓄を促進するための企業と家計への減税」「経済を活性化させるための規制緩和」「財政投資から民間投資へのシフトを目的にした小さな政府化」だ。
重なりあう部分が多いのだが、李首相は経済の構造改革にあたって「ソフトランディング」の実現を重視した。一方の習主席は多少のリスクはあっても党・政府主導による改革を大胆に進める方針だった。
<経済官僚と共産党経済担当者の対立が激化>
李首相の「ソフトランディング」重視が裏目に出たとされる典型例が、16年から中国の証券市場に、代表的指数の1つであるCSI300指数にもとづく新たな「サーキットブレーカー」制度を導入したことだ。同制度が初めて適用されたのは1月4日。市場は大混乱し各証取は8日になり「しばらくは実施を見合わせる」と宣言することになった。習主席が強く不満に思ったことは想像に難くない。
李首相の経済政策を立案し推進するスタッフは国務院(中国中央政府)の経済官僚。一方、習主席のブレーンは共産党中央の経済担当部門である、同党中央財経済指導チームだ。中国では共産党と政府の中央機関が北京市中心のやや西にある中南海と呼ばれる地区に集中しているが、共産党の施設は中南海の南、政府施設は北にあるため、党と政府の経済官僚の対立は「南北院戦争」とまで言われるようになった。
また共産党機関紙の人民日報は同年5月16日付の第1面で、経済情勢についておおむねは良好としながらも、同時点の政策では「中国経済はU字回復もV字回復も不能。L字の状態になっている」と主張する論説を掲載した。李克強政策への批判であることは明らかだった。「権威ある人へのインタビュー」の形式だったが、のちになり「権威ある人」とは中央財経済指導チーム事務室の劉鶴主任とわかった。
習主席は7月の1カ月で「重要」と位置づけられる会議を6回開催したが、うち3回は経済関係だったとの報道もあった(新華社)。李首相絡みの報道は一時期、めっきり減った。報道がやや増えたのは9月のキューバ訪問あたりからだった。
<習主席が主導権確立、財政面では厳しさ増す可能性>
これらを総合すると、李首相(と政府の経済官僚グループ)は、習主席側の「軍門に下った」と見るのがよさそうだ。5日開幕の全人代では、首相が冒頭に政府工作報告を行う。多くの文字数が経済関係に割かれるのが通例だ。
16年全人代の政府工作報告も、サプライサイドの改革を強調するなど「習近平トーン」がかなり強かったが、今回の報告ではそれがさらに強まる可能性がある。とすれば、中国はどのような事態に直面することになるのか。
まず考えられるのが、減税にともなう政府財政赤字の拡大だ。16年時点でそれまで上限とされていたGDP比3%に達しているが、17年には3.5%にするとの見方が出ている。それと同時に考えられるのが、一部国有企業に対する増税だ。国有企業は「資産は国有、経営は企業」との建前があるが、人事面で交流があるなど企業側が政府の求めを拒否しづらい構造がある。また、課税の方式も明らかでなく、その時の党・政府の状況に応じてかなり恣意(しい)的な面があると考えられるからだ。
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